社内でも激しい人材取り合い合戦

 そしてアクセンチュアは、コインの裏表のような顔を持つという。上から見れば、超グローバルな一枚岩の存在。一方で、下から見れば例えば日本法人はローカルの意識を強く持っている。

「グローバルの意識を持つ一方で、やっぱり国のカルチャーも重要なんです。だから、より土着化することを求められる。そういう意識でいなければ、ローカルには浸透できないんですよ。だから、ローカルの意識も極めて強いんですね。ただ、グローバル企業として全体の合意形成をするときには、キーワードは“What's best for Accenture?”なんです。全体で語り合うときには、自分の代表している部門のことは忘れろ。アクセンチュア全体にとって、ベストな選択を意識しろ、と。実際、議論が激しくなると、“What's best for Accenture?”というと、おさまりますから」

 典型例は人材だという。人材は世界中で共有のリソース。だから、人の取り合いは時に激しいものになる。このときも、“What's best for Accenture?”で人を融通し合う。自分の部下と思うな、アクセンチュア全体のものだと思え、という発想で人が動く。

「そこら中で争いはありますね(笑)。海外でキャリアを積んだ人を、日本に引っ張ってくることももちろんありますし、逆に日本でキャリアを積んで、海外で働いている社員もいます」

 上司が外国人になることもあれば、部下が外国人になることもある。こういう風土の中にいると、グローバル感は当たり前のものになっていく。

「トレーニング等で、いろんな国の人間が集まってきます。よく、どこの国の人はどういうタイプで、どこの国の人はこうで、みたいなジョークがありますが、そういう危ないジョークを、みんなでしょっちゅう言い合ったりしていますね。社員間じゃなければ、お互いの神経を逆なでしそうなことも平気で言えてしまう(笑)。そういう環境ができているんです」

 その上で、もし本当にグローバルなリーダーになりたいのであれば、今ならどんなことが必要になるのか、それもわかるという。