今年は以下の4種類が選定され、製造が進められていたのだが問題が起きた。

◎A型株
  H3N2⇒A/埼玉/103/2014(CEXP002)
  H1N1pdm09⇒A/シンガポール/GP1908/2015(IVR-180)

◎B型株
  ビクトリア系統⇒B/テキサス/2/2013
  山形系統⇒B/プーケット/3073/2013

「A/埼玉/103/2014(CEXP002)株」の増殖効率があまりにも悪いことが6月にわかったのだ。「このままでは昨年度の71%程度しか生産できない」というリスクが明らかになり、極端なワクチン不足による混乱を防ぐために、急遽別の株「A/香港/4801/2014(X-263)株」に切り替えられた。

 そこから新たに作り直しているので、流通量の出足が遅れている、というのが現在の状況だ。

 しかし、不思議だ。なぜ、増殖効率が極端に悪い株を選んでしまったのか。

 実はインフルエンザワクチンは、「ワクチンの製造に用いる鶏卵への馴化(じゅんか)によって起こるワクチンウイルスの抗原変異」という大問題を抱えている。

 簡単に言うと、製造過程で卵馴化(卵内の環境に適応してしまうこと)が起きると、ウイルスの性質が変化し、でき上がったワクチンはターゲットとするウイルス(例えば「A/埼玉/~」)には効かないものになってしまう(ただ、1種類のウイルスに効かなくなったとしても、ほかの3種類への効果はあるので、ワクチンがまったく効かなくなるということはない)。