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ドラッカーの慧眼

【1971年マッキンゼー賞受賞論文】
[新訳]欧米企業が抱える問題を解決する
日本の経営から学ぶもの

What We Can Learn from Japanese Management

ピーター F. ドラッカー
【第14回】 2012年2月16日
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「総意」に基づく意思決定、年功序列による雇用保障、変化を容認する労働者気質、継続的かつ広範な社員教育、若年層をマンツーマンで鍛え上げる“教父”制度──。こうした日本独特の文化や制度は、この20年間における日本の経済成長の大きな要因である。そしてこれらのなかに、欧米の経営者が抱える大きな問題を解決するヒントが含まれているという。なお、当論文の日本語版における初出は1980年8月号である。再掲載に当たり、新たに翻訳を行っている。

日本企業のアプローチ

 経営陣の最も重要な関心事は何か。アメリカ(もしくはその他の西欧諸国)では、どのような組織の経営者も、次の3つの領域にきわめて高い優先順位を与えるだろう。

 ●効果的な意思決定を行うこと。

 ●雇用保障と次のようなニーズを調和させること。すなわち、労働コストの柔軟性、生産性、そして会社の変化を従業員に受け入れてもらうことなど。

 ●若いプロフェッショナル・マネジャーを管理・育成すること。

 これらの問題領域に迫るための、日本のトップたち──特に企業の経営者たち──のやり方は、アメリカやヨーロッパの経営者のそれとは驚くほど異なっている。日本の経営者は異なった原則を適用し、異なったアプローチや方策を生み出してきたのだ。

 こうした方策は、日本の「経済的奇跡」を解くカギとまではいえないものの、過去100年間に日本が驚くほど台頭した大きな要因である。特に、この20年間における日本の経済成長と実績の大きな要因であることは間違いない。

 欧米諸国がこれらの方策を真似ることはばかげているし、実際には不可能であろう。なぜなら、日本の伝統と文化に深く根差したものであるからだ。これらの方策は、現在の産業社会の諸問題に適用されてはいるものの、そもそもはるか以前に、日本における名門一族の家来や封建領主の関係者、もしくは禅寺の僧職、日本美術の大家の流れを汲む書家や画家によって生み出された価値観や慣習なのである。

 しかし、こうした日本の慣行の底に流れる原則は、欧米の経営者に注意深く研究される価値があると私は信じている。これらの原則は、我々の最も切実な問題に対して、1つの解決の道を示してくれる可能性がある。

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ピーター F. ドラッカーが1950年から2004年まで50年以上にわたってハーバード・ビジネス・レビューに寄稿した論文を少しずつご紹介します。
 

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