「英語力」は親から子への最良のプレゼント

このエピソードからもおわかりいただけるとおり、僕は「子どもの英語力」だけに問題意識を持っているわけではありません。
ましてや旧来型の受験エリートを養成することにも興味はありません
これから日本や世界がどのように変化しようとも、そのなかでたくましく思考し、しなやかに生きていける本物の知性を育てたいのです。

ちょっときれいごとめいて聞こえるかもしれませんが、むしろこれこそが、いま現役で子育てをしている親たちのリアルな感覚ではないかと思います。
僕も15歳の娘と6歳の息子を持つ父親として、子どもたちに望むのはこれ以上でもこれ以下でもありません。

もはや「いい大学に入れば安心」とか「英語さえできれば大丈夫」などという時代でないのは、親の世代である僕たち自身が痛いほど実感しています。
子どもに英語を学ばせたい親御さんも、「英語がペラペラになってくれさえすれば、それでいい」などとは思っていないはずです。ましてや、わが子の「学校成績のアップ」とか「難関校への合格」だけを願っている人もいないでしょう。

そんな表面的な力よりも、今後、世界のどこでも幸せに生きられる本当の頭のよさを身につけてほしい――それが子を持つ親の本音ではないでしょうか。

そうした真っ当な願いを持つ人にとって、外国語学習の機会は、大人が子どもに授けられる最高のプレゼントだと僕は考えています。
「学校のお勉強ができる秀才」ではなく、「本当に賢い子」に育ってほしいのであれば、まずもって英語からはじめてみるべきです。

事実、アカデミックな研究分野でも、「外国語学習の機会が、子どもの知力やIQを高める」ということが知見として蓄積されつつあります*。

* Bialystok, E. (2011). Reshaping the mind: The benefits of bilingualism. Canadian Journal of Experimental Psychology / Revue canadienne de psychologie expérimentale, 65(4), 229; Costa, A., & Sebastián-Gallés, N. (2014). How does the bilingual experience sculpt the brain?. Nature Reviews Neuroscience, 15(5), 336-345.

第二言語の習得が脳に与えるポジティブな影響については、神経科学や認知科学の分野でもエビデンスに基づいた研究が数多く提出されています。なかには、「バイリンガルは年齢を重ねても認知症を発症しにくい」という研究まであるくらいです*。

* Craik, F. I., Bialystok, E., & Freedman, M. (2010). Delaying the onset of Alzheimer disease Bilingualism as a form of cognitive reserve. Neurology, 75(19), 1726-1729.

「英語塾なのにまず『国語』の成績が上がる」という先ほどのエピソードからもわかるとおり、英語を“正しく”学べば、英語“以外”の力も同時に高まります。これは単に僕個人の経験談などではなく、学術的な裏づけもあることなのです。