[神戸市 6日 ロイター] - 日銀の政井貴子審議委員は6日、神戸市内で会見し、日銀による量的・質的金融緩和(QQE)が金融機関の一段の利ざや縮小圧力になっていると述べる一方、現時点で金融仲介機能の停滞や金融システムが不安定化するリスクは大きくない、との認識を示した。ETF(上場投資信託)の買い入れは、物価2%目標の早期実現のために必要な政策と語った。

政井委員は、金融緩和長期化の副作用として、一般論として市場機能の低下や、資産価格の過度な上昇、金融仲介機能の悪化を挙げた。

このうち金融仲介機能に関しては、日銀の金融緩和長期化によって金融機関の預貸金利ざやは縮小基調にあり、2013年4月に導入した大規模なQQEが「一段の下押し圧力に働いていると思う」と指摘。

昨年9月に日銀が過度なイールドカーブのフラット化を回避することも狙いにイールドカーブ・コントロール(YCC)政策を導入したこともあり、足元では「利ざやの縮小傾向は落ち着きつつある」としたが、「引き続き収益の下押し要因になっていることは変わらない」との認識を示した。

もっとも、金融機関は充実した自己資本を確保しており、現状においては「金融仲介が停滞方向に向かうリスクや、金融システムが不安定化するリスクは大きくない」と断言した。

その上で「日本経済をしっかりとした成長軌道に乗せ、2%の物価安定目標を実現することは、金融機関自身の長期的な経営の観点からも重要」と述べ、民間の成長力強化に向けた政府・日銀の後押しとともに、「日銀と金融機関との協力関係の維持・強化も欠かせない」と語った。

年間約6兆円のETF買い入れについては、現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の「枠組みの1つの要素」とし、株式市場のリスクプレミアムへの働きかけや、現在の経済・物価・金融情勢を踏まえれば、「2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するために必要な政策」と見直しに否定的な考えを示した。

(伊藤純夫)