「買い主」が不動産仲介手数料を払うのは日本だけ!
その上、売り主のために作った重要事項説明書を、
買い主にも使いまわす不届きな不動産会社が多い!

【第3回】2017年12月22日公開(2020年6月10日更新)
風戸裕樹:PropertyAccess.co CEO & Founder

不動産取引では“お客さん”である「買い主」も不動産仲介会社に手数料を払わなければなりません。ちょっと考えてみると、おかしいと思いませんか。通常の買い物なら、品物の代金のほかに手数料を払うことはないわけですから。なぜ、不動産取引は別なのでしょうか。

 現在私が住んでいるシンガポールでは、買い主が不動産仲介会社であるエージェントに仲介手数料を支払うことはありません。第2回目でも少し触れましたが、米国も含めて海外では買い主がエージェントに仲介手数料を払わないのが常識なのです。

 買い主がエージェントに物件探しを依頼する目的は何でしょうか。できだけ多くの売り物件の中から、自分が求めている条件に最もマッチする物件を一緒に探して紹介してほしいからです。シンガポールでは、自分の住まいに対する夢や理想に共感して物件探しを手伝ってくれるエージェントに人気があります。

 一方で、売り主は、物件をできるだけ高く買ってくれる買い主を探してもらおうと、成功報酬として手数料を支払うことを条件にエージェントに仲介を依頼します。売り主のエージェントは、その期待に応えて、できるだけ幅広く買い主を集めるために、インターネットの物件検索サイトに広告を掲載したり、他のエージェントに客付け(買い主を紹介すること)を依頼したりします。日本なら、チラシを作成して特定エリアに配ったりもしますが、集客方法はシンガポールも日本も同じです。

【関連記事はこちら!】
>> 不動産売買手数料が一律「3%+6万円」は高い!? シンガポールは手数料「1%」でも経営可能!

両手取引OKだと、顧客そっちのけで両手取引に走る

 もし日本のように、エージェントが売り主と買い主の両方から手数料を得ることができるとしたら、どうなるでしょうか。

 売り主のエージェントなら、他のエージェントから高値で買ってくれる買い主を紹介されても断って、自分で買い主を探してきて成約させようとする人が出てくるでしょう。1度の取引で、売り主と買い主の両方から手数料を得られる両手取引の方が楽して儲けられるからです。

 買い主のエージェントなら、買い主の要望に最も適した物件を紹介するのではなく、手っ取り早く、自分が依頼されている手持ちの売り物件を紹介して、こちらも両手取引に持ち込もうとするかもしれません。

 シンガポールでは、売り主しか仲介手数料を払わず、売買仲介手数料の上限が1%と決まっているので、日本のように両手取引に持ち込む意味がありません。そもそも、シンガポールでは両手取引そのものも禁止されています。そのため、売り主のエージェントはできるだけ幅広く買い主を集めて、不動産をなるべく高く売ろうとします。

 買い主のエージェントは、売買が成立すれば、売り主のエージェントから売り主が払う手数料の何割かを得ることができるので、顧客に気に入ってもらえる物件を紹介し、できるだけ早く成約に持ち込むことが利益になるのです。

【関連記事はこちら】
>> 不動産の「両手取引」禁止は世界の常識! 「囲い込み」の概念すらないシンガポール

買い主は、インスペクションなどにお金を使う

 シンガポールなどの海外では、買い主の「不動産仲介手数料が無料」は当たり前、と書きました。では、全くお金を払わないのかというとそうではありません。不動産取引は、非常に専門性が高く、売り主から提供される物件情報のチェックも必要になるため、手数料以外の出費があるのです。

 シンガポールでは、物件の売り出し価格が妥当かどうかを知りたければ、過去の取引事例の成約価格が一般公開されているので買い主にも判断しやすくなっています。また、国家資格を持つアプレイザー(不動産鑑定会社)にお金を支払って、評価を依頼することもできます。

 さらに建物の状態が知りたければインスペクター(建物検査技術者)に、不動産登記の内容を確認するにはタイトルカンパニー(登記調査会社)にそれぞれ調査を依頼します。いずれも、その分野の専門家が買い主をサポートしています。

買い手側の仲介会社は、重要事項説明書を使い回し?!

 日本の不動産取引でも、買い主がインスペクション(建物状況調査)や不動産鑑定士を利用することはほとんどありませんでした。強いて言えば、不動産仲介会社のほかには不動産登記の手続きを司法書士に依頼するくらいでしょうか。

 しかし、宅地建物取引業法が改正され、2018年4月から中古住宅の取引ではインスペクションの説明が義務化されることになりました。国でも建築士を対象にインスペクターの養成を進めており、これまで日本ではあまり利用されていなかったインスペクションの普及が進むことが期待されています。

 確かにインスペクションを利用すれば、買い主は第三者に建物の状況をチェックしてもらって安心できます。とは言え、不動産仲介会社に高い仲介手数料を支払ったうえに、司法書士に手数料を払い、インスペクターにも手数料を払うのでは、買い主の負担が増えるばかりです。

 日本の不動産仲介会社は、所属の宅地建物取引士(宅建士)が重要事項説明書を作成し、その内容を買い主に説明する役割があります。日本でもシンガポールと同じように、売り主と買い主が別々の不動産仲介会社に依頼して取引を行うケースがありますが、宅建業法ではどちらか一方の宅建士が重要事項説明書を作成し、もう一方の宅建士はその内容をチェックして記名捺印するだけで良いのです。

 本来、売り主などから物件情報を取得・整理して売り出し価格などをアドバイスするのは売り主側の宅建士の役割です。買い主側の宅建士の役割は、それらの情報を第三者の立場からチェックすることにあります。だとすれば、「両手取引」の場合にはその第三者チェックも疎かなままに重要事項説明書を使い回し、買い主は仲介手数料を払わされていることが多いのです。

 第三者チェックも、宅建士が行うよりも、インスペクターなどの専門家に依頼した方が信頼性が高く、合理的でしょう。そう考えると、買い主が不動産仲介会社に物件価格の3%+6万円もの、上限いっぱいの高額な仲介手数料を支払うのが慣習化さえていることに意味があるのかと考えざるを得ません。日本でもインスペクションが本格導入されるのを機に、改めて考える必要があるのではないでしょうか。
(編集協力=ジャーナリスト・千葉利宏)

【関連記事はこちら】
>> 不動産売却時の注意点を業界のプロに聞いた! 「レインズに登録しない」「図面を載せない」など不動産仲介会社の悪質な「囲い込みテク」に注意を

  • RSS最新記事
おすすめ不動産一括査定サイトはこちら

※不動産一括査定サイトとは、売却したい不動産の情報と個人情報を入力すれば、無料で複数社に査定依頼ができます。査定額を比較できるので売却相場が分かり、きちんと売却してくれる不動産会社を見つけやすくなる便利なサービスです。

◆SUUMO(スーモ)売却査定
SUUMO(スーモ)
 無料査定はこちら >>
 
特徴 圧倒的な知名度を誇るSUUMOによる一括査定サービス
・主要大手不動産会社から地元に強い不動産会社まで2000社以上が登録
対応物件 マンション、戸建て、土地
紹介会社数 10社(主要一括査定サイトで最多)※査定可能会社数は物件所在地によって異なります
運営会社 株式会社リクルート住まいカンパニー(東証プライム子会社)
>>SUUMO(スーモ)の詳細記事はこちら
◆すまいValue
不動産一括査定サイトのすまいValue
簡単60秒入力、大手6社に査定依頼できる!
特徴 大手不動産会社6社が運営する一括査定サイト
対応物件 マンション、戸建て、土地、一棟マンション、一棟アパート、一棟ビル
対応エリア 北海道、宮城、東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城、愛知、岐阜、三重、大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、和歌山、岡山、広島、福岡、佐賀
運営会社 大手不動産会社6社(東急不動産、住友不動産販売、三井のリハウス、三菱地所の住まいリレー、野村の仲介+、小田急不動産)
>>すまいvalueの詳細記事はこちら
◆マンションナビ
マンションナビ
 無料査定はこちら >>
 
特徴

マンションの売却に特化
・マンションを賃貸に出したい人の賃料査定にも対応
900社以上の不動産会社と提携

対応物件 マンション
紹介会社数 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社)
運営会社 マンションリサーチ
>>マンションナビの詳細記事はこちら
◆HOME4U(ホームフォーユー)
HOME4U
 無料査定はこちら >>
 
特徴 悪質な不動産会社はパトロールにより排除している
・20年以上の運営歴があり信頼性が高い
・1800社の登録会社から最大6社の査定が無料で受け取れる
対応物件 マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所
紹介会社数 最大6社
運営会社 NTTデータ・スマートソーシング(東証プライム子会社)
>>HOME4Uの詳細記事はこちら
◆いえカツLIFE
いえカツLIFE
 無料査定はこちら >>
 
特徴

・対応可能な不動産の種類がトップクラス
共有持ち分でも相談可能
訳あり物件(再建築不可物件、借地権、底地権など)の査定も対応可能

対応物件 分譲マンション、一戸建て、土地、一棟アパート・マンション・ビル、投資マンション、区分所有ビル(1室)、店舗、工場、倉庫、農地、再建築不可物件、借地権、底地権
紹介会社数 最大6社(売買2社、買取2社、リースバック2社)
運営会社 サムライ・アドウェイズ(上場子会社)
>>いえカツLIFEの詳細記事はこちら
◆おうちクラベル
おうちクラベル
 無料査定はこちら >>
 
特徴

・AI査定で、査定依頼後すぐに結果が分かる
・SREホールディングスが運営する一括査定サイト

対応物件 マンション、戸建て、土地、一棟マンション、一棟アパート
紹介会社数 最大15社
運営会社 SREホールディングス株式会社(東証プライム上場企業)
>>おうちクラベルの詳細記事はこちら
◆イエウール
イエウール
 無料査定はこちら >>
 
特徴

掲載企業一覧を掲載、各社のアピールポイントも閲覧可能
2000社以上の不動産会社と提携
・対応可能な不動産の種類が多い

対応物件 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
紹介会社数 最大6社
運営会社 Speee
>>イエウールの詳細記事はこちら
◆LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)
LIFULL HOME'S
 無料査定はこちら >>
 
特徴

日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営
2400社以上の不動産会社と提携
匿名査定も可能で安心

対応物件 マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件
紹介会社数 最大6社
運営会社 LIFULL(東証プライム)
>>LIFULL HOME'Sの詳細記事はこちら

 

 

一括査定サイトと合わせて
利用したい査定サイト

 

◆ソニーグループの「SRE不動産」売却査定
60秒で入力可能! 囲い込みのない不動産会社
特徴 ・両手仲介・囲い込みを行わない
・上場企業のソニーグループが運営
・売却専門の担当者がマンツーマンで高値売却を追求
対応物件 マンション、戸建て、土地(建物付きを含む)、収益用不動産
対応エリア 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県
運営会社 SREホールディングス株式会社(ソニーグループ)
>>SRE不動産の詳細記事はこちら

不動産一括査定サイトを比較
評価・評判を実際に一括査定して検証!

サイトロゴ suumo売却査定 home4u マンションナビ おうちクラベル イエウール ライフルホームズ リビンマッチ いえカツLIFE HowMa RE-Guide マイスミEX イエイ すまいValue
サイト名 suumo売却査定 HOME4U マンションナビ おうちクラベル イエウール ライフルホームズ リビンマッチ いえカツLIFE HowMa RE-Guide マイスミEX イエイ すまいValue
提携社数 2000以上 1800以上 2500 不明 1900以上 3691以上 1700以上 500以上 30以上 29 800以上 1000以上 6
最大紹介社数 10
※物件所在地によって異なる
9 6 6 6 6 6 6 6 6 10 6 6
主な対応物件 マンション、戸建て、土地 マンション、戸建て、土地 マンション マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て、土地など
対応エリア 全国 全国 全国 全国 全国 全国 全国 東京、千葉、神奈川、埼玉 東京23区、神奈川県:横浜市(西区・中区・港北区・神奈川区)、川崎市(幸区・中原区) 全国 全国 全国 全国
記事を読む 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら

【不動産仲介会社の評判を徹底調査!】
・「SRE不動産(ソニーグループ)」の評判
・「三井のリハウス」の評判
・「住友不動産販売」の評判
・「東急リバブル」の評判
・「野村の仲介+」の評判
・「明和地所」の評判
・「京王不動産」の評判
・「オークラヤ住宅」の評判
・「小田急不動産」の評判

 
TOP