ここが変だよ日本の不動産取引
【第3回】 2017年12月22日公開(2018年7月13日更新)
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風戸裕樹

「買い主」が不動産仲介手数料を払うのは日本だけ!
その上、売り主のために作った重要事項説明書を、
買い主にも使いまわす不届きな不動産会社が多い!

不動産取引では“お客さん”である「買い主」も不動産仲介会社に手数料を払わなければなりません。ちょっと考えてみると、おかしいと思いませんか。通常の買い物なら、品物の代金のほかに手数料を払うことはないわけですから。なぜ、不動産取引は別なのでしょうか。

 現在私が住んでいるシンガポールでは、買い主が不動産仲介会社であるエージェントに仲介手数料を支払うことはありません。第2回目でも少し触れましたが、米国も含めて海外では買い主がエージェントに仲介手数料を払わないのが常識なのです。

 買い主がエージェントに物件探しを依頼する目的は何でしょうか。できだけ多くの売り物件の中から、自分が求めている条件に最もマッチする物件を一緒に探して紹介してほしいからです。シンガポールでは、自分の住まいに対する夢や理想に共感して物件探しを手伝ってくれるエージェントに人気があります。

 一方で、売り主は、物件をできるだけ高く買ってくれる買い主を探してもらおうと、成功報酬として手数料を支払うことを条件にエージェントに仲介を依頼します。売り主のエージェントは、その期待に応えて、できるだけ幅広く買い主を集めるために、インターネットの物件検索サイトに広告を掲載したり、他のエージェントに客付け(買い主を紹介すること)を依頼したりします。日本なら、チラシを作成して特定エリアに配ったりもしますが、集客方法はシンガポールも日本も同じです。

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>> 不動産売買手数料が一律「3%+6万円」は高い!? シンガポールは手数料「1%」でも経営可能!

両手取引OKだと、顧客そっちのけで両手取引に走る

 もし日本のように、エージェントが売り主と買い主の両方から手数料を得ることができるとしたら、どうなるでしょうか。

 売り主のエージェントなら、他のエージェントから高値で買ってくれる買い主を紹介されても断って、自分で買い主を探してきて成約させようとする人が出てくるでしょう。1度の取引で、売り主と買い主の両方から手数料を得られる両手取引の方が楽して儲けられるからです。

 買い主のエージェントなら、買い主の要望に最も適した物件を紹介するのではなく、手っ取り早く、自分が依頼されている手持ちの売り物件を紹介して、こちらも両手取引に持ち込もうとするかもしれません。

 シンガポールでは、売り主しか仲介手数料を払わず、売買仲介手数料の上限が1%と決まっているので、日本のように両手取引に持ち込む意味がありません。そもそも、シンガポールでは両手取引そのものも禁止されています。そのため、売り主のエージェントはできるだけ幅広く買い主を集めて、不動産をなるべく高く売ろうとします。

 買い主のエージェントは、売買が成立すれば、売り主のエージェントから売り主が払う手数料の何割かを得ることができるので、顧客に気に入ってもらえる物件を紹介し、できるだけ早く成約に持ち込むことが利益になるのです。

【関連記事はこちら】
>> 不動産の「両手取引」禁止は世界の常識! 「囲い込み」の概念すらないシンガポール

買い主は、インスペクションなどにお金を使う

 シンガポールなどの海外では、買い主の「不動産仲介手数料が無料」は当たり前、と書きました。では、全くお金を払わないのかというとそうではありません。不動産取引は、非常に専門性が高く、売り主から提供される物件情報のチェックも必要になるため、手数料以外の出費があるのです。

 シンガポールでは、物件の売り出し価格が妥当かどうかを知りたければ、過去の取引事例の成約価格が一般公開されているので買い主にも判断しやすくなっています。また、国家資格を持つアプレイザー(不動産鑑定会社)にお金を支払って、評価を依頼することもできます。

 さらに建物の状態が知りたければインスペクター(建物検査技術者)に、不動産登記の内容を確認するにはタイトルカンパニー(登記調査会社)にそれぞれ調査を依頼します。いずれも、その分野の専門家が買い主をサポートしています。

買い手側の仲介会社は、重要事項説明書を使い回し?!

 日本の不動産取引でも、買い主がインスペクション(建物状況調査)や不動産鑑定士を利用することはほとんどありませんでした。強いて言えば、不動産仲介会社のほかには不動産登記の手続きを司法書士に依頼するくらいでしょうか。

 しかし、宅地建物取引業法が改正され、2018年4月から中古住宅の取引ではインスペクションの説明が義務化されることになりました。国でも建築士を対象にインスペクターの養成を進めており、これまで日本ではあまり利用されていなかったインスペクションの普及が進むことが期待されています。

 確かにインスペクションを利用すれば、買い主は第三者に建物の状況をチェックしてもらって安心できます。とは言え、不動産仲介会社に高い仲介手数料を支払ったうえに、司法書士に手数料を払い、インスペクターにも手数料を払うのでは、買い主の負担が増えるばかりです。

 日本の不動産仲介会社は、所属の宅地建物取引士(宅建士)が重要事項説明書を作成し、その内容を買い主に説明する役割があります。日本でもシンガポールと同じように、売り主と買い主が別々の不動産仲介会社に依頼して取引を行うケースがありますが、宅建業法ではどちらか一方の宅建士が重要事項説明書を作成し、もう一方の宅建士はその内容をチェックして記名捺印するだけで良いのです。

 本来、売り主などから物件情報を取得・整理して売り出し価格などをアドバイスするのは売り主側の宅建士の役割です。買い主側の宅建士の役割は、それらの情報を第三者の立場からチェックすることにあります。だとすれば、「両手取引」の場合にはその第三者チェックも疎かなままに重要事項説明書を使い回し、買い主は仲介手数料を払わされていることが多いのです。

 第三者チェックも、宅建士が行うよりも、インスペクターなどの専門家に依頼した方が信頼性が高く、合理的でしょう。そう考えると、買い主が不動産仲介会社に物件価格の3%+6万円もの、上限いっぱいの高額な仲介手数料を支払うのが慣習化さえていることに意味があるのかと考えざるを得ません。日本でもインスペクションが本格導入されるのを機に、改めて考える必要があるのではないでしょうか。
(編集協力=ジャーナリスト・千葉利宏)

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<不動産売却の基礎編>
相場を知るために、まずは「一括査定」を活用!

 不動産の売却に先駆けて、まずは相場を知っておきたいという人は多いが、それには多数の不動産会社に査定をしてもらうのがいい。

 そのために便利なのが「不動産一括査定サイト」だ。一括査定サイトで売却する予定の不動産情報と個人情報を入力すれば、最大6社程度から査定してもらうことができる。不動産の相場観が分かるだけでなく、きちんと売却してくれるパートナーである不動産会社を見つけられる可能性が高まるだろう。

 ただし、査定価格が高いからという理由だけでその不動産会社を信用しないほうがいい。契約を取りたいがために、無理な高値を提示する不動産会社が増加している。

 「大手に頼んでおけば安心」という人も多いが、不動産業界は大手企業であっても、売り手を無視した手数料稼ぎ(これを囲い込みという)に走りがちな企業がある。

 なので、一括査定で複数の不動産会社と接触したら、査定価格ばかりを見るのではなく、「売り手の話を聞いてくれて誠実な対応をしているか」、「価格の根拠をきちんと話せるか」、「売却に向けたシナリオを話せるか」といったポイントをチェックするのがいいだろう。

 以下が主な「不動産一括査定サイト」なので上手に活用しよう。

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■相場を知るのに、おすすめの「不動産一括査定サイト」はこちら!
◆HOME4U(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所
掲載する不動産会社数 900社 不動産一括査定サイト「HOME4U」の公式サイトはこちら
サービス開始 2001年
運営会社 NTTデータ・スマートソーシング(東証一部子会社)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、日本初の一括査定サービスであり、運営会社はNTTデータグループで安心感がある点。弱点は、提携会社数がやや少なめであること。
HOME4U公式サイトはこちら
◆イエウール(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1400社以上 不動産一括査定サイト「イエウール」の公式サイトはこちら
サービス開始 2014年
運営会社 Speee
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、掲載する会社数が多く、掲載企業の一覧も掲載しており、各社のアピールポイントなども見られる点弱点は、サービスを開始してまだ日が浅い点。
不動産一括査定サイト「イエウール」の公式サイトはこちら
◆LIFULL HOME'S(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件
掲載する不動産会社数 1692社(2018年8月)
サービス開始 2008年
運営会社 LIFULL(東証一部)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。
不動産一括査定サイト「LIFULL HOME'S」の公式サイトはこちら
◆スマイスター(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫
掲載する不動産会社数 1400社 不動産一括査定サイト「スマイスター」の公式サイトはこちら
サービス開始 2006年
運営会社 リビン・テクノロジーズ
紹介会社数 最大6社
【ポイント】強みは、掲載している不動産仲介会社数が多く、マンション、戸建て、土地以外の工場、倉庫、農地も取り扱いがある点。弱点は、運営会社が広告代理店で上場していないこと。
スマイスター公式サイトはこちら
◆イエイ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1000社 不動産一括査定サイト「イエイ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2007年
運営会社 セカイエ
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。
不動産一括査定サイト「イエイ」の公式サイトはこちら
◆マンションナビ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション
掲載する不動産会社数 900社超、2500店舗 不動産一括査定サイト「マンションナビ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2011年
運営会社 マンションリサーチ
紹介会社数 最大9社(売却6社、賃貸3社)
【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取扱い物件がマンションしかない点。
マンションナビ公式サイトはこちら
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