巨大ファンドが「石油投資引き揚げ」でも危機感薄い国内元売り今期の第2四半期決算が好調だった元売り各社。世界的な“脱石油”の動きに、どう対応していくのだろうか

 世界的な“脱石油”の予兆だろう。世界最大の政府系ファンド(SWF)のノルウェー政府年金基金が、石油メジャーのエクソン・モービル、ロイヤル・ダッチ・シェル、シェブロン、BPへの投資を引き揚げる方針を、英国の経済紙・フィナンシャルタイムズが伝えた。

 北海油田を有する産油国のノルウェーが、「石油は今後儲からない」と判断したのだ。

 今回の投資引き揚げは、石油メジャーの全株式の計約6%にあたり、売却総額はなんと120億5000万ドル、日本円にして約1兆3400億円に上る。

 なぜ儲からないと判断したのか。「背景にあるのは“新”ピーク・オイル論でしょう」。こう解説するのは、三井物産と三井石油開発で40年以上、石油を中心にエネルギー関連業務に従事したエネルギーアナリストの岩瀬昇氏だ。

 “旧”ピーク・オイル論とは、地球上の石油資源は有限で、いつかは枯渇するという考え方。資源が少なくなれば、需要が供給を上回るため、石油価格は高くなる。

 一方の“新”ピーク・オイル論は、資源が枯渇するより前に、需要がピークを迎える説だ。こちらは対照的に、供給が需要を上回るので、いずれ石油価格は下落していくことになる。

 需要のピークをいつ迎えるかはさておき、世界的には“新”ピーク・オイル論が優勢になりつつある。