[香港 6日 ロイター] - 中国では金融市場の開放に伴い、過去2年間で外資系の資産運用会社30社以上が100%子会社の設立認可を得たが、ファンド第1号の立ち上げに近付いたのは6社程度にとどまっている。最大の障害となっているのが、条件にかなう人材の不足だ。

中国は投資銀行から保険に至るまで、金融市場の開放を徐々に進めており、1兆5000億ドル規模の個人向け資産運用市場も参入規制が緩和された。しかし事業に携わる外国人を数多く国内に呼び込むことは規則上、非常に難しい。

弁護士によると、たとえば個人向け資産運用事業の場合、上級幹部は標準中国語だけで書かれた筆記試験を受ける必要がある。

複数の業界関係者によると、標準中国語が話せる金融のプロは、中国よりもニューヨークやシンガポール、香港の方が高い給与が得られるため、今後数年間で問題はさらに深刻化しそうだ。

人材会社ヘイズのグレーターチャイナ担当マネジングディレクター、サイモン・ランス氏は、「提示される給与パッケージが魅力的とは言い難いため、多くの企業は上級職員の採用に苦労しているし、今後も苦労するだろう。上級職は高い能力を求められるからだ」と述べた。

外資系企業はこれまで、中国事業への出資が制限されて本土事業の経営権を握れなかったこともあり、香港やシンガポールなどアジアの金融センターに中国事業のトップを配置することが多かった。

しかし規制緩和により、中国国内にこうした上級幹部を異動させたり、国内での採用を増やすようになれば、ただでさえ少ない熟練した人材の獲得競争は激化しそうだ。

資産運用会社アバディーン・スタンダード・インベストメンツは「中国では上級職員の採用競争が非常に激しい」と説明する。

香港の金融関係者らによると、きれいな空気やより良いライフスタイルを求めて中国を離れる金融職員が後を絶たないことも、人材不足に拍車をかけている。

米大手銀の上級職員は「良い条件を提示してこのうち半分を中国本土に引き戻したとしても、問題の解決には程遠い。従って国内で人材を獲得する必要あるが、20%から25%高い賃金を出して国内企業から人を引き抜いても、その人物が法令順守やリスク管理の世界基準を満たせるとは限らない」と語った。

人材不足が原因で、中国金融セクターの賃金は既に年間約10%上昇している。人材会社2社によると、これは香港とシンガポールの約2倍のペースだ。

それでも香港、シンガポールに比べて給与水準はまだ低い。米大手銀の中級程度のバイスプレジデントだと、香港なら基本給が年間約200万香港ドル(25万5970米ドル)だが、北京だと150万香港ドルにとどまる。

(Sumeet Chatterjee記者)