「働き方革命」には
 現実的に多くの原資が必要だ

 また、企業側から見ると、「働き方革命」を推進するには、大きな原資が必要となる。
 原資は、切り崩れていってしまってはならないから、その大元は企業が生み出す「利益」であることが望ましい。そして、「利益」を生み出すものこそが、「マーケティング」ということになる。

 考えてみれば当たり前のことだが、経営者は今、「ブラック」という言葉に神経質なほどに怯えている。
 誰も好き好んで「ブラック」と言われたいはずがない。
 企業を「ブラック化」させないためには、多くの「利益」が必要であって、今の時代の風潮では、それは大企業ばかりではなく、中小企業、新興の弱小ベンチャー企業にもそれが期待される。

 それは、実におかしな話ではあるが、企業と経営者には、今の時代ほど全能性を求められているということだ。今の時代ほど、企業や経営者が全能性を求められる時代は、未だかつてなかったのではないだろうか。

 企業は、たとえ自分が食えなくとも、従業員を厚遇しなければならず、厚遇できない企業は、消えてなくなってしまったほうがいいという恐ろしい風潮がある。たとえ、その企業が将来的に多くの貢献を世の中にもたらすかもしれなかったとしてもだ。

 そこで、企業として取ってはならない戦略は、「働き方革命」の風潮によって意味もなく、社員を厚遇することだ。
 企業にとって、資金は血であるが、実は働く側にとっては、金銭はそれほど大きなインセンティブではない。

 まずやるべきことは、自社の利益基盤を充溢させることだ。
 つまり、「マーケティング革命」を推進して、利益を確保することこそが、すべてを解決するための方法となる。
「マーケティング革命」が機能して、効率よく生産性を高めて、コンテンツの制作に集中できれば、利益が増大し、そこを社員の給与などに振り分けることができるようになる。
 特に中小企業においては、そうすることによって、はじめて現実的な「働き方」革命を推進することができる。
 考えてもみてほしい。
 伊那食品工業が社員に対して「ハイパー・ホワイト」なのは、業界で圧倒的なシェアがあるからだ。
 グーグルやフェイスブック、外資系の企業の給与が高いのは、単一の国だけでなく、世界中から利益をかき集められるからだ。
 重要なのは、「利益」であって、利益を生むのは企業の「マーケティング」戦略如何である。