将来に備えて資産運用を始めたい。でも何に投資していいのか分からないし、値下がりリスクも怖い──。そんなふうに「初めの一歩」を臆する必要はない。なぜならあなたはすでに投資の世界へ足を踏み入れているからだ。

「投資経験がないという人の多くが、無意識のまま投資を始めています」。そんな驚く指摘をするのは、ファイナンシャル・プランナーの横山利香氏だ。

横山氏横山利香氏
ファイナンシャル・プランナー 国際テクニカルアナリスト連盟認定 テクニカルアナリスト(CFTe)

 というのも、確定拠出年金企業型(企業型DC)や2017年1月から加入対象が拡大された確定拠出年金個人型(個人型DC、iDeCo)に加入していて、掛け金を元本確保型(預金や保険)以外の商品で運用している人は、運用商品として投資信託を選んだはずだから。その投信こそが、投資商品なのである。ただ、DCの投資対象は分散投資を徹底したバランス型と呼ばれる投信が中心だ。また、多くの人が預貯金や国債などの債券、保険といったローリスクな金融資産を保有している。

 だからこそ、横山氏は初めの一歩であっても「リスクを意識した投資」を勧める。

投資は損をする
認識を持てば勝てる

 投資対象として横山氏が挙げたのは、株式、FX(外国為替証拠金取引)、ビットコイン(仮想通貨)。どれに投資するにせよ、「投資とは『損をするもの』という認識が不可欠」だという。「株式投資であれば、株価は上下するものです。『損をする』という認識があれば、株価が上昇してある程度の含み益が生じた時点で、いったん売却して利益を確定することができます」。損をする認識がないと、いつまでも持ち続ける結果、暴落によって大きな損失を被る可能性が高まるというわけだ。

 利益確定をした後は、値下がりしたところで同じ銘柄を買い直してもいいし、別の銘柄に乗り換えてもいい。そうやって小まめな売買を繰り返して利益を積み上げる──それが投資で勝つ極意である。

 株式投資では、銘柄探しに苦労するが、横山氏は「テーマを決めるといい」とアドバイスする。「今ならハイテク関連、IT関連の中から探すと良さそうです」。投資の基本は分散投資だが、投資資金が少額のうちは損失を被ってもダメージが小さいので「集中投資で大きな利益を狙う」ことも検討しよう。

 それでも第一歩が踏み出せない人は、最近注目されている各証券会社の「ロボアドバイザー」を利用するのもいいだろう。自分に合った投資スタイルで、

商品の選定や資産配分などを自動で行ってくれる資産運用サービスだ。「自動」とはいえ、判断は自分で下すこともできるし、折々に配分を見直すことで投資の勉強にもなる。少額で始める場合は、サービス利用料や手数料などコストにも留意したい。

 横山氏は「状況は、半年から1年で動く」と言う。そのため、自分の金融資産は、適宜確認・見直す必要がある。それだけでも資産を運用する意識は変わってくるはずだ。