業界の常識を覆し、
小ロット・低価格のサービスを提供

 成功した理由は、業界最安値に設定した価格だった、と木村社長は説明する。品質やサービスは良くて当たり前、後は価格をいかに安くするかが勝負だった。

 もともと印刷業界では、小ロットで安い価格の印刷は嫌がられていた。オフセット印刷では、印刷の工程上、どうしても試し刷りが数百枚単位で発生するため、100枚でも1000枚でも価格は一緒になっていたのだ。ある一定の固定費は動かせないため、価格はどうしても高くなる。そんな印刷業界の常識を、プリントパックは覆したのだ。

「それを実現するために、付け合わせ印刷という方法を取りました。基本になるのはA4版8枚での印刷なのですが、そこに8件別々の注文を載せたのです。トラック運送でいうならば、混載便と同じイメージです。それを行うことで、小ロットで低価格の印刷物を提供することが可能になったのです」と木村社長。

 付け合わせ印刷をするためには、一定数以上の発注の分量が必要になるが、それこそが印刷通販の強みだった。小ロットの注文が全国から舞い込むようになったのだ。

東京と大阪にはリアル店舗である印刷ショップを展開

 06年には東京に店舗を構え「見える化」を行うことで信用力も増した。大量に届く注文を高品質かつ納期通り出荷するために、積極的な設備投資も行った。現在は、本社を含めて7工場を有する。

 印刷通販はある意味で、既存の印刷会社を脅かす存在と伝えられていたが、今は逆に地方などで苦戦する印刷会社の仕事を請け負う存在になっている。

 多様な印刷物に対応するためには設備投資が必要であり、小規模な印刷会社はその負担に耐えられないのだ。故にプリントパックの現在の受注の一定以上は、そうした印刷会社からの製造受託であるという。

 

自分で稼ぐ力を
鍛えられる会社

 売り上げが10年間で約30倍という急成長を見せているプリントパック。同社が目指すのは「印刷通販の最大手の地位にとどまらず、日本の印刷物を最も多く引き受ける会社になること」(木村社長)だという。

 品質・スピード・低価格が強みの印刷会社であることから、生産現場の過酷さがイメージされるが、労働環境は風通しが良く、頑張る若手にチャンスを与える現場だという。

性別・年齢を問わず自身を磨くためのチャンスが与えられる社風

「決して楽な仕事ではないかもしれませんが、私自身、親として子どもが社会に出るときには、楽な会社より、自分で稼ぐ力を鍛えられる会社がいいと考えています。

 今の時代、安定した会社というのは存在しません。企業理念は、『人のため世の中のために尽くし、貢献する企業であり続けること』。この理念の基に、仕事を通して稼ぐ力を身に付けていってもらうことが、本当の安心につながるのではないかと考えます」と木村社長。

 理念をきちんと理解した上で入社を判断してもらうため、新卒面接は、複数回にわたって丁寧に行われる。新卒社員は全員が幹部候補。変わり続ける社風は永続する。

 

問い合わせ先
株式会社 プリントパック
URL:http://www.printpac.co.jp/