[サンフランシスコ 13日 ロイター] - 米アップル<AAPL.O>は光通信技術を手掛けるフィニサー<FNSR.O>への投資で拡張現実(AR)機能の重要部品であるレーザーの供給の囲い込みを進め、サムスン電子<005930.KS>や華為技術(ファーウェイ)などライバルは締め出しを食らう恐れがある。

アップルはハイテク企業を支援する10億ドルの基金から3億9000万ドルをフィニサー(時価総額22億ドル)に投資する。フィニサーによると、アップルの投資は社債や株式の取得ではなく、「両社の将来の事業を見据えたもの」だという。

フィニサーは閉鎖していたテキサス州工場を再開し、「iPhone(アイフォーン)X」の顔認証システムの主要部品であるVCSEL(垂直共振器面発光レーザー)を生産する。

アップルはレーザーの初回の調達先を明かしていないが、アナリストはルメンタム・ホールディングス<LITE.O>が供給元だとみている。

レーザーはAR機能にとって欠かせない3次元マッピング用のセンサーとして利用されている。センサーの性能が高いほど、現実映像へのバーチャル映像のはめ込み精度が向上する。

アップルは今後開発する製品についてほとんど明かさないが、ティム・クック最高経営責任者(CEO)は、ARは巨大で深遠な技術シフトだと述べており、この分野に注力する方針については柄にもなく雄弁だ。

アップルは「アイフォーン6」以降の全てのアイフォーンに搭載可能なARアプリの制作に夏の間に着手できるように、アプリメーカーに対して開発ツールを公開した。

ただ、AR機能を支えるレーザーの確保は難しい。他の旧式の半導体と違ってサプライチェーンが確立していないためだ。その中でアップルは10─12月期に、3カ月で製造できる量の10倍のレーザーを調達したと発表している。

大きな問題は、アップルによるフィニサーへの投資が、サムスン電子や華為技術などライバル企業による、3次元センサー搭載スマホの生産能力をどれほど阻害するかだと、アナリストはみている。ライバル勢が必要なレーザーを確保できなくなる恐れあるためだ。

ループ・ベンチャーのジーン・マンスター氏は、アップルはフィニサーへの投資により、レーザーの供給確保や価格の面でより優位に立ち、アンドロイド勢は競争がより難しくなると指摘。「サムスン電子はどこからVSCELの調達が可能か考えているだろうが、(フィニサーとルメンタムの)他には思いつかない。サムスン電子は少し苦しい立場に立たされている」と話した。

テクナリシス・リサーチのボブ・オドネル氏はアップルの今回の投資について、「入手が難しく、重要あるいは差別化が可能だと思われる部品を支配してサプライチェーンを垂直化し続けるアップルの姿勢が、ここにも表れた」と話した。

(Stephen Nellis記者)