「面接における自己紹介」で
言わなければならないのは何なのか

  問題文に、必ず出題者の意図が隠されている。
  出題者が何を聞きたいのか読み取れれば、問題は解けたも同然だ。
  出題者の意図を無視して、いきなり書き始めても、間違ってはいない。
  だが、得点には結びつかないという結果になってしまうのだ。

  就職試験の面接において、「自己紹介してください」という問題で出題者は何を聞こうとしているのだろうか。
  自己紹介という言葉は抽象的で、意味が広い。
  血液型の話をしてもいいし、名前にまつわる話でもいいし、子供のころの思い出でもいいし、出身地の話でもいいし、自分のアレルギー体質の話でもいいし、悩みごとの告白でもいいし、自分の話であれば、それはみんな「自己紹介」になってしまうのだ。

  それらは、「自己紹介」としてはマチガイではない。
  でも「面接における自己紹介」という条件つきになるとマチガイなのだ。
  「面接における自己紹介」を一言で言うと、
  「これまで何をしてきたか」

ということだ。

  面接に慣れてくると、「面接の自己紹介」として適切なものと、適切でないものの境目が見えてくる。野球でいうとストライクとボールの判断ができるということだ。君は、ストライクだけを打てばいいのである。血液型の話も、出身地の話も、ボールなのだ。でも案外この、
  ①[お国自慢お家自慢型]
  は多い。話題の少ない人に多いタイプだ。「自分は、この面接を受けるまでの二十数年間、何をしてきたのか」ということを言わねばならないのだ。記憶喪失でもないかぎり、気がついたらここにいたという人はいないはずだ。だが実際には、
  ②[急性記憶喪失型]
  が多い。
  記憶喪失の症状に近い人が面接会場にはやってくるのだ。笑っているけれども、他人事ではないのだ。「そんなこと急に言われても……」てなことになる。