[東京 18日 ロイター] - 日立製作所<6501.T>の東原敏昭社長は18日、報道各社の取材に応じ、2021年度を最終とする次期中期計画で営業利益率(IFRS)の目標を2桁に引き上げることを想定していると明らかにした。東原社長は「2桁利益を目指したい」と述べた。米ゼネラル・エレクトリック(GE)<GE.N>が200億ドル(約2兆2000億円)超の資産売却・分離を計画し、鉄道車両や医療IT事業を売却すると報じられている中、日立が買収に応じることについては否定的な見方を示した。

<M&A、世界一の技術にこだわり>

18年度を最終とする現行の中期計画では、売上収益(売上高に相当)10兆円、営業利益率8%が目標。17年度は7.0%の見込み。東原氏は18年度の中計目標達成について「通過点。その先のグローバル企業と比較する必要がある」と述べ、さらなる改善が必要との見方を示した。

17年度は「世界へ打って出るための、成長へギアチェンジ」(東原社長)との位置づけで、日立は現計画で1兆円規模のM&A(合併・買収)を実行する想定だ。

17年度には空気圧縮機の製造・販売を手掛ける米社を約12億ドルで買収をしたものの、1兆円の想定とはだいぶ開きがある。今後の買収戦略について東原氏は、「水面下で動いているものは随分ある。買収もしっかりやっていきたい。(日立は)世界最高速のエレベーターを持っているが、(M&Aでは)世界一にこだわっていきたい」などと語った。

M&Aの場合、魅力的な案件がいつ出てくるかは予想しがたい。GEによる事業売却に対する日立の関心や意欲の有無について東原氏は、「GEとは(提携する原子力分野などで)パートナーとしてやっていきたいが、直接、(売却対象を)M&Aすることはまったく考えていない」と述べた。「最近、GEのフラナリー最高経営責任者が来日して話をしたが、M&Aを含めたことは話をしていない」という。

<国内原子炉メーカーの再編、政策議論が必要>

日立は、注力事業として電力・エネルギー、産業・流通・水、都市、金融・公共・ヘルスケアの4分野を掲げる。ライバルの東芝<6502.T>が、米国での原発建設の遅れにより巨額の損失を抱え、16年度末時点で債務超過(17年度末に解消見込み)に陥った。市場関係者の間には、日立が原発事業を抱えることは経営リスクとの見方がある。

東原氏は原子力事業について「温暖化問題やエネルギー安全保障、人材確保を総合的に考えないといけない」と述べ、意義があると強調。同社が英国で進める原発の新規建設プロジェクトについて「いかに成功させるかは重要な課題」と述べた。

日立は、19年度に英原発事業について最終投資判断を下す考えだが、「(建設プロジェクトへの)出資者をどう募るのか。投資して(採算性が)有効である形を作らないといけない。19年度のFID(最終投資決定)まで予断を許さない」と答えた。

1年前には、東京電力ホールディングス<9501.T>の経営再建問題に絡み、国内電力各社の原発事業と、日立、東芝、三菱重工業<7011.T>の国内の原子炉メーカー3社の再編問題が浮上した。

当時の記者会見で、東原氏は国内原子炉3社の再編について「(原発で使う)燃料ばかりではなく、全体を考えないといけない」と述べ、再編・統合に含みを持たせた。東原氏は今回、この問題について「1メーカーが考えることではない。世界規模での原子力政策をどうするのか、議論を始めないといけない」と話した。原発燃料についても、議論は進んでいないという。

<損得より善悪の価値優先を>

神戸製鋼所<5406.T>や三菱マテリアル<5711.T>など素材産業で相次いだ品質データの改ざん問題の受け止めについて東原氏は、「大事なことは損得より善悪。トップが言い続けなければいけない」と答えた。

一連の不祥事を受けて日本経団連は、会員企業・各団体に関連企業や傘下企業で品質問題の有無をチェックするよう呼びかけている。東原社長は「(日立では)倫理観に絡むような案件は上がっていない」と述べた。

一般論として日本のモノづくりに問題が生じているのかどうかについて東原氏は、「ソフトウエアの部分が大きくなり、モノづくりの定義が過去から変わってきてた。臨機応変に対応するモノづくりを、原点に返って考え直さないといけない時代になった」と指摘した。

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(浜田健太郎)