会社は黒字でもつぶれる?

 また、わが社は黒字だからつぶれない、というのも間違いです。
 2008年に起きたリーマン・ショックでは、多くの上場企業が倒産に追い込まれました。

 2008年度に限れば、その約2分の1は“黒字倒産”でした。
 黒字でも会社が倒産したのは、仕入代金などの支払いと、売った代金の回収のタイミングにズレがあり、支払手形の決済等ができなかったからです。

 80万円で仕入れた商品を100万円で売れば20万円の黒字ですが、多くの商売ではお客様から100万円をもらう前に仕入代金80万円を取引先に支払わなくてはいけません。

 このとき、キャッシュがなくて支払いができなくなると倒産します。
 このカラクリがわかると、じつは事業がグングン成長している企業のほうが自転車操業になりやすく、倒産リスクは高いことがわかるでしょう。

 具体的に計算すると、銀行格付(格付は1~10で、最優良が1、本書59ページ参照)が「7」の会社が、何も策を打たないまま前年比125%の増収増益を3年間続けると、資金がショートして倒産する。

 黒字は決して安全を意味しない。

 赤字でもキャッシュがあれば生き延び続けられるし、黒字でもキャッシュが底を突けばつぶれます。

 会社の生き死には、まさしくキャッシュ次第。

 経営は現金に始まって現金に終わる。
 社長は何よりも優先して自社のキャッシュを把握すべきです。

 700社以上を診てくると、残念ながら、100人中99人が陥る「アリ地獄」があります。これは面白いほど共通しています。
 ぜひ、第1回連載にある、ひとつでも当てはまったら危ない!【あなたの「会社の危険度」10のチェックリスト】をチェックしながら、『数字は人格』を体細胞に植えつけていただけたらと思います。