流行の後追いでは遅い
チャンスは社外で生まれている

 とはいえ、銀行員なら誰でもすぐにフィンテック企業に採用されるわけではありません。業務でその領域と直接関わっている人以外はあまり関係がなかったりします。ではどうすればそうしたチャンスを発見し、掴むことができるのでしょうか。

 たとえば、フィンテックに将来性や勉強の必要性を感じた人が、社外で開催されるセミナーや勉強会に通っているうちに講師や同じ興味を持つ人たちと緩くつながっていき、フィンテック企業から声をかけられたり、「今度辞めようと思っているのですが……」と相談したら「じゃあうちに来ませんか」と誘われたり。そんな流れでチャンスが開けることがあると思います。

 つまり転職において「機を見るに敏」であるということは、普段から自分の興味・関心を大切にして、社外に出て情報を集めたり学んだりしながらその分野の人たちとの信頼関係を築いていき、いざ自分が動こうとするときに自ずとチャンスが向こうから舞い込んでくる人です。

 逆に、メディアで得た情報だけでその時々の流行テーマを表面的に追いかけて転職活動をする人は、たいていの場合、遅きに失します。まだ「海の物とも山の物ともつかない」感があるうちはよいのですが、世の中の大多数がそのテーマを認知してから動いても、すでに重要な席は埋まっているものです。

 この数年内で就職した人は別として、10年前、20年前に都市銀行へ新卒入行した人は、終身雇用的な感覚で入行した人が多いと思います。そういう人は自分の銀行の中だけで完結してしまう人が多いのです。

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 これは都市銀行に限ったことではありません。日本のビジネスパーソンは自社オンリーの人が多く、会社の仕事や研修を通じていろいろなことを学んでいくという感覚が強いのです。しかし、それではもはやビジネスの進化に追いつきません。

 今やたくさんチャンスが生まれているのは社外であり、チャンスは社外からしかやって来ません。それなのに社内で閉じこもっていたらジリ貧に陥るばかりです。自ら社外のセミナーや勉強会などに出ていくことが、よいチャンスを掴む必須条件と言えます。ところが、社内の閉じた世界に住み慣れた人には意外とこれが難しいようです。

 一方で、ずっと社内に閉じこもっていた人が社外の世界に出たとき、社外の世界の住人からは「非常に世間知らずで甘ちゃん」だと思われることがよくあります。やはり社内や業界村のローカルルールが身に染みついていると、一般的な世界からはズレているところがたくさんあったりするのです。

 その意味でも社内の閉じた世界に留まらず、意識して社外に出て世間の風に身をさらしていく必要があります。それには前述したようにセミナーや勉強会への参加のほか、転職市場にエントリーして、社外における自分の価値を確認してみるのも一つの方法です。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)