[21日 ロイター] - <為替> ドルが円とスイスフランを除く主要通貨に対して下落した。米税制改革法案成立で見込まれるドルへのプラス効果は、織り込み済みで今後の上昇余地は限られると受け止められた。

終盤の主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は0・1%安、ユーロ/ドル<EUR=>は0.3%高の1.1879ドルとなった。ドルはポンド、カナダドル、ニュージーランドドルに対しても値下がりした。

TDセキュリティーズは「1986年以来という大幅な税制改革が実現されようとしているのに、ドルと外為市場は総じて反応が鈍い。こうした状況から、市場は税制改革法案成立をほぼ相場に織り込んだということが分かる」と説明した。

一部のアナリストは、税制改革が米経済にどれほど好影響を及ぼすかも疑わしいとみている。コモンウェルスFXのチーフ市場アナリスト、オマー・エシナー氏は、財政面の刺激が強まって物価を押し上げ、米連邦準備理事会(FRB)がより急速に利上げする余地が出てくるという点でドルを支えるものの、財政赤字も増え、企業に採用増を促すインセンティブも乏しいと指摘。「景気循環における今の局面で経済にどれだけ大きな勢いを与えるかまだ分からない」と話した。

ドル/円<JPY=>は直近が0.5%高の113.39円で、一時は1週間ぶりの高値を付けた。ただ21日までの日銀の金融政策決定会合結果を見極めようとのムードが強く、ドルの上値は重かった。

アナリストによると、ユーロ高はドイツ国債利回りの上昇や投資家による年末のポートフォリオ調整がもたらした面もあった。

INTL FCストーンのグローバル・マクロストラテジスト、ビンセント・デルアード氏は、ユーロ/ドルが来年1.30ドルまで上昇する可能性があると予想。欧州中央銀行(ECB)の量的緩和を通じてユーロ圏の銀行に渡った資金はこれまで米国債に投資されてきたが、資金フローの正常化に伴ってユーロが大きく値上がりするはずだと主張している。

<債券> 国債利回りが上昇。米税制改革法案成立による景気押し上げ観測から、10年債利回りは3月以来の高水準を付けた。

議会下院は午後、法人税率の大幅な引き下げなどを柱とする税制改革法案を賛成多数で再可決。上院はこの日の未明に可決しており、法案はトランプ大統領に送られた。

市場では減税により投資と消費が活性化し、経済成長とインフレが押し上げられるとの期待が出ている。ソシエテ・ジェネラル(ニューヨーク)の米国金利戦略部門責任者、スバドラ・ラジャッパ氏は「過去数営業日にわたり税制改革法案が国債利回りの押し上げ要因となっていた」と指摘。「経済指標も堅調だったことで、国債に対する売りが膨らんだ」としている。

全米リアルター協会(NAR)が朝方発表した11月の米中古住宅販売戸数は2006年12月以来約11年ぶりの高水準となり、これまでの約1年間不調が続いていた米住宅市場が勢いを取り戻していることが示唆された。

市場は22日発表のコア個人消費支出(PCE)指数に注目。同指数は連邦準備理事会(FRB)がインフレ動向を推し量るために注目している指標の1つ。弱い状態が続けば、来年の政策運営を巡る舵取りが難しくなる可能性がある。

BMOキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の米国金利戦略部門責任者、イアン・リンゲン氏は今回の統計について「コアCPIからみて抑制された数字になるとの見通しはすでに織り込まれている」と述べた。

午後の取引で10年債<US10YT=RR>利回りは2.480%。一時は2.497%と、3月21日以来の水準に上昇した。

イールドカーブフラット化を見込んだポジションが一部解消されたこともあり長期債がアンダーパフォーム、2年債と10年債の利回り格差<US2US10TWEB>は一時63ベーシスポイント(bp)と、11月30日以来の水準に拡大した。

<株式> 小幅に続落して取引を終えた。米議会下院は20日午後、法人税率の大幅な引き下げなどを柱とする税制改革法案の最終案を再可決し、法案は署名のためトランプ大統領に送られた。

約30年ぶりの大幅な税制改革となる同案には、法人税率を来年1月1日から現行の35%から21%に引き下げることが含まれており、企業の利益を押し上げ、増配や自社株買いに道が開ける可能性がある。

こうした期待感から、S&P総合500種<.SPX>は11月半ば以降で約4.5%上昇。減税の恩恵を最も受けるとみられる輸送株や銀行株などが特に買われた。

一部の専門家は、株価はすでに税制改革法案の可決を織り込んでいると指摘。今後は税制改革の恩恵を受ける企業が明確になるにつれて株価が動くとみている。

この日はS&Pの主要11セクターのうち、エネルギーなど4セクターが上昇。エネルギー株は米原油在庫の予想以上の減少を受けた原油先物の上昇が支援材料となった。

ダウ輸送株20種<.DJT>は0.9%上昇し、終値ベースで過去最高値。9─11月決算の利益が予想を上回った米宅配大手フェデックス<FDX.N>の3.5%急伸が寄与した。

<金先物> 持ち高調整の買い戻しがやや優勢となり、反発した。中心限月2月物の清算値は前日比5.40ドル(0.43%)高の1オンス=1269.60ドル。

<米原油先物> 米原油在庫の大幅減少や北海ブレントの供給懸念などから買われ、続伸した。この日から中心限月に繰り上がった米国産標準油種WTI2月物の清算値は前日比0.53ドル(0.92%)高の1バレル=58.09ドル。3月物の清算値は0.55ドル高の58.13ドルとなった。

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