「朝1杯」で、痩せて頭も冴えまくる

 そこで、著者が考案したのが朝1杯のバターコーヒーを飲むという方法なのだ。腸内の「痩せ型」細菌を養う抗酸化物質が豊富でインスリン感受性を高める(血糖値を安定させる)などの効果があるコーヒーに、バター(大さじ2杯まで)とMCTオイル(またはココナッツオイル。大さじ2杯まで)を混ぜて良質の脂肪を摂取するというものだ(MCTオイルはいきなり多く摂るとお腹がゆるくなることもあるので、分量は様子を見ながら調整してほしい)。

 良質の脂肪を充分に摂っている限り、脳はむやみに空腹感を起こさず、ファスティングの状態が持続するので、腹を空かさずに断続的ファスティングのメリットが得られる。

 使うバターはグラスフェッド(牧草飼育)の牛からとれたものがベストだが、なければ、ブレス産バターやイズニーバター、セーブルバター、エシレバターなど飼料のよく管理されているAOP認証のものや、できるだけ牧草飼料の割合の高い高品質のバターがおすすめとのこと。白いバターより黄色いバターのほうが栄養豊富だという。

 そして昼食をたとえば13時ごろに摂ったら、夕食はその後6時間以内に摂るのが望ましいので、19時ごろに摂ることになる。これで次の日の13時までバターコーヒー以外飲まなければ、夕食から次の昼食まで18時間のファスティングができて、大きな減量効果や集中力増強効果が期待できるというわけだ。

「0か100か」の方法ではない

 ほかにも、最新の食の科学を説きながら、野菜はできるだけ大量に食べること、できるだけ「毒」の少ない食材を選ぶこと、グラスフェッドの肉を食べることなどをすすめている。とくにニュージーランドオーストラリアの牛などは牧草主体で育てられているようだ。

 とはいえ著者は、本書のノウハウは0か100かの方法ではなく、良いものを少しでも多く、悪いものを少しでも少なく摂るための道しるべだといっている(著者自身、本書のノウハウでは推奨できないポップコーンなども家族と映画を観たりするときには食べるという)。また、人はそれぞれ異なる生化学をもっているから、人がある食物を食べたときの反応は一様ではないとも。

 だから、神経質になりすぎることなく、できるだけ質のいいものを食べながら、自らの気分や体調の、良い変化や悪い変化をよく観察していくことで、自分にとっての最強の食事を見つけてほしい。

 最先端の食の百科事典ともいうべき本書の情報を、ぜひ有意義に活用していただけると幸いである。

(※この原稿は書籍『シリコンバレー式自分を変える最強の食事』から訳者あとがきを抜粋して掲載しています)