イベントリスクに振り回された2011年

 2011年は、多くのイベントリスクに振り回された1年として終わろうとしている。振り返ると、2011年が明けて2月頃にかけては、各種経済指標が景気の再加速を示唆し始めた。筆者は「景気の2番底回避」をメインシナリオとしていたことから、一安心した記憶がある。

 しかし、3月11日に東日本大震災が起き、事態は一変した。加えて、すでに市場が意識していたギリシャの財政不安が、ポルトガル、スペイン、イタリアにも波及。同時に、貸し手である銀行の健全性に対する疑念も強まった。

 こうしてギリシャの財政問題は、2011年に欧州の財政・金融問題へと「格上げ」された。さらに、大洪水の発生により、タイの鉱工業生産は10月に前月比▲35%と急落した。これがグローバルなサプライチェーンを経て、他国の生産活動の足も引っ張った。

 もうないであろうと高をくくっていたら、足元をすくわれた。北朝鮮の金正日総書記が12月17日に死去したとの公式報道が、同19日に流れた。為替市場が有事のドル買いに動く中、韓国では通貨(韓国ウォン)・株・債券が売られるトリプル安が見られた。

 アジアとの経済的なつながりが深まる中、日本経済への波及を不安視する見方もある。日本にとってはまさに「内憂外患」の1年であった。

2012年もイベントリスクに注意

 2012年もイベントリスクに事欠かない年となりそうだ。日本の主なイベントとしては以下が挙げられる。

 ・1月中旬…通常国会召集(⇒2012年度本予算の年度内成立は可能か?)

 ・3月…野田政権が消費増税準備法案を国会提出(⇒政治が政策から政局に向かうリスク)