――常に強気な永守会長に伺いにくいのですが、これからの日本電産のリスクはなんでしょうか。

 まあ、われわれはどんどん成長しているので、それに伴う人材を確保できるのかが最大のリスクですね。人材を集めないで会社を大きくすると膨張になってしまいます。会社を大きくするのは簡単で、会社を買えばいいだけ。でもそれでは経営に失敗します。成長にふさわしい人材が必要なんです。

 つい最近もすごくいい会社があって買おうとしたんですが「ちょっと待て」ということで止めました。なぜなら、その会社を買収しても、一体誰を派遣すればいいのかイメージできなかったからです。

 とても良い会社で、本当に買いたかったんですけどね。でも、売り上げ規模が3000億円くらいだったので、そうなると十数人のマネジメントが必要になった。まずは、その人材を集めてからでなければ、その会社は買ってはいけないということです。

 その会社を買ってしまえば、簡単に売上高は3000億円が増えます。でも、日本の会社ではそういうことをやった結果、上手く行かずに減損して大赤字になるというケースがあるので、あくまで身の丈に応じた買収をしなければいけない。そのためには、人材が集まるかどうかが最大の鍵なんです。

――人材不足は多くの会社で共通の課題です。

 18年には18歳の人口が大幅に減るので、高卒者が減るという問題があります。ということはその4年後には、大卒者ががたんと減るわけです。

 われわれにとっては、モーターに関わる研究者が全く足りない。集めても集めてモーターの専攻者が日本にいないんです。

 そこで、私は「永守財団」を作って永守賞で世界のモーター研究者を表彰して、モーターを研究する若手研究者に補助金を出しています。

 京都大学も20年前にモーターの研究講座がなくなったので、私は講座を寄付しました。研究者がいなくて困っているので、将来はその教え子さんを頂けませんかということをやっているわけです。

 しかし、それでも人材は足りません。来年は500人の新卒者を採用しますが、20年にはおそらく日本だけで1000人くらいの大卒者を集めなければならないほどのペースで成長しているので、まったく足りないわけです。