カード支払いが嫌い!?
新しくて旧い台湾EC

 総人口は約2300万人と日本の約6分の1ながら、親日的と言われ潜在的な顧客が期待される台湾。こちらも中国同様、スマホが急速に浸透している。ECにおいては、「Yahoo!奇摩」「PChome」「MOMO」といったモールの信頼性が高く、集客力も強い。対して個別のECサイトでの成功事例はそれほどない。

 台湾でもSNSが浸透しており、飲食店がフェイスブックで予約を受け付けるなど、パーソナルに限らずビジネスでSNSが積極的に活用されている。Webマーケティングにおいては、企業が発する広告より、ブロガーなどのKOL(キー・オピニオン・リーダー)が発する情報が影響力を持つという。

 台湾でのECビジネスを考えるに際して知っておくべきは、クレジットカードに対する意識の違いだ。「日本のECでは当たり前の決済手法であっても、台湾ではクレジットカード=借金という意識があるようで、クレジットカードを頻繁に使うことに抵抗がある人が少なからず存在します。商品の受け渡しに際してはコンビニ払いなどを利用する傾向が強くあります」(サイバーエージェント 台湾支店総経理・小野雄輝氏)

 SNSを生活のインフラとして使いこなす一方で、決済はいまだにアナログが選ばれるなど、先進的な面と旧来の商慣習が混在する台湾。前出の小野氏は「台湾のECの現状は、PChomeをはじめとした一部のモールの寡占状態にあり、一昔前の日本のEC環境に近いところがあると言えます。その点で言えば、日本企業が入り込む余地は多分にありそうです」

 その一例として小野氏は顧客管理、すなわちCRMへの対応を挙げる。「まだまだCRMへの取り組みは遅れている感があり、ワン・トゥー・ワン発想で事業を展開しているEC事業者はきわめて少ないのが実情です。日本的なCRMの発想を台湾で具現化できれば、大きな成功が目指せるのではないかと考えています」。

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