日本電子
栗原 権右衛門(ごんえもん)
代表取締役社長

 日本電子の栗原権右衛門社長は、「世界中の研究機関や大学などのアカデミックな分野に当社の電子顕微鏡が入っています。その台数シェアは、世界でもトップクラス。当社の電子顕微鏡や核磁気共鳴装置(NMR)を使ってノーベル賞を受賞した研究者も大勢います」と強調する。「会社設立の主旨を考えると、当社はボーングローバル(生まれながらにしてグローバル志向)な企業でした」。

 14年に、同社はグローバルニッチトップ(GNT)企業100選に選ばれた。これは、ニッチな業界で一定以上のグローバルシェアを確保し、今後も発展が見込める企業を顕彰する経済産業省の施策だ。これによって、日本企業の国際競争力の維持・向上を目指す。「GNT100選に選ばれたことにより、当社の世界シェアの大きさや、競争力の強さに国のお墨付きをもらえました」と栗原社長は喜ぶ。

受託分析サービスで
モノ売りからコト売りへ

 しかし、クライオ電子顕微鏡一つとっても、その価格は数億円。最近は、アカデミックな分野ばかりでなく、民間の製薬会社などからも大きな需要があるが、一企業で簡単に購入できるものでもない。

 そこで、日本電子は名古屋大学客員教授の藤吉好則氏と共同で、クライオ電子顕微鏡を使った「受託分析サービス」の提供を開始。民間企業でも、高額なクライオ電子顕微鏡を購入することなく、低コストで試料の分析などのサービスを受けられるようになった。

 栗原社長は、同サービスを「モノ売りからコト売りへのシフト」と話し、「最近は、製薬会社などが創薬のために微細な試料を分析したいというニーズが高まっています。そういった需要にも応え、気軽に当社の顕微鏡を使ってもらうため、ハードウエアを売るだけではなく、サービスという『コト』も売ることにしたのです」と説明する。