ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
ポスト・ビッグデータ時代の経営

製造業における
ビッグデータ活用の盲点と対策(2)

KPMGコンサルティング
【第3回】 2017年12月29日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
2
nextpage

 選定した領域の有識者とのヒアリングを通して、品質不具合の具体的な事象と発生原因をセットで情報収集します。さらに、収集した原因の根本原因を特定するために、再帰的に原因分析を繰り返す必要があります。筆者の経験則になりますが、およそ4、5回程度原因分析を繰り返すと、根本原因に行きつきます。

 不具合事象の原因は、事象特有のものですが、原因分析を繰り返していく毎に、要因は汎用的な要素に抽象化されていきます。素材特性のもの、基礎技術に起因するもの、生産技術の不備といった基礎的要因に行きつくケースが多いです。熟練者は、不具合事象特有の情報から、根本原因までの流れを経験的に脳内でトレースすることが出来るわけです。KPMGは、この思考プロセスを可視化し、さらにAIに学習させ、AIからのレコメンドとして再現性を得ることこそが、形式知化であると考えています。

 様々な不具合事象の原因を分析していくと、巨大なグラフ構造が出来上がります。究極的には、選定した領域内におけるすべての品質不具合に関する原因分析を行い、可視化すると、過去の経験を網羅したグラフを作成することが出来ます。さらに、自然言語処理を応用し、単語間の類似性・関連性を分析することで、人では気が付かない不具合の依存関係を見出すことが可能となり、人の経験知の隙間を埋めることも可能となります。また、人間がグラフを見て、新たな着想を得ることも可能となります。熟練者一人ひとりが独立した情報として保持していた知識がつながり、知識の溝が埋められていくことになります。

出典:KPMGコンサルティング

 ここで構成されたグラフこそが、企業が保有する熟練者の英知であると言えます。これを教師データとしてAIに学習させることにより、例えば「軽量化のためにある部品の素材を金属から樹脂に変えた場合の品質チェック事項」をあらゆる観点で網羅的に識別していくことが可能となります。

 製造業において、製品開発時の品質不具合による手戻りは非常に大きなインパクトをもたらします。経営計画に則った製品の市場投入が遅れ、企業の競争力を損ないます。また市場に出た後に不具合が発覚するようなケースにおいては当てて言及するまでもないでしょう。

previous page
2
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

ポスト・ビッグデータ時代の経営

「ビッグデータ」が活用され始めた企業の現場で「ハードウェア資源不足に対する危機感」が問題となりつつある。この潮目の変化にいち早く気づいたコンサルタントが、「ビッグデータ時代の終焉」と「ポスト・ビッグデータ時代」の経営の要点を明らかにする。

「ポスト・ビッグデータ時代の経営」

⇒バックナンバー一覧