大震災で一念発起、引きこもり生活から漫画家へ転じた20代女性の決意「引きこもり」生活の経験者でありフリーランスの立場で漫画家を目指す、うのゆみこさん

引きこもり当事者を代弁する
キャラ「こもりん。」の発信力

『ひきこもり新聞』紙上で『こもりん。』という4コマ漫画を連載してきた「引きこもり」経験者の女性編集スタッフが、これからフリーランスの立場で漫画家を目指す。

大震災で一念発起、引きこもり生活から漫画家へ転じた20代女性の決意うのさんが生み出した漫画キャラクター「こもりん。」
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 この女性は、茨城県に住む、うのゆみこさん(29歳)。『ひきこもり新聞』の実務を担っていたメンバーたちが独立し、新しいメディア『HIKIPOS』(ひきポス)を創刊した(詳細はこちら)のをきっかけに、うのさんもこのほど、より多くの需要に応えられたらと、自由に漫画を描く道を選んだ。

 彼女がつくり出した「こもりん。」は、引きこもり当事者情報発信メディアである「ひきこもり新聞」の紙面に、6回にわたって連載されてきた人気のキャラクターだ。「こもりん。」とは、性別のない年齢不詳のキャラクター(イラスト参照)。いつも殻の中から顔を覗かせている。

 外に出ようとすると、殻のギザギザで傷つけられ、なかなか痛くて出られない。殻の形が変わるか、自分の姿を変えなければ、殻の外には出られないという設定だ。

 2017年1月号に掲載された第1回作品では、「こもりん。」が、ひとりでいる寂しさよりも、みんなでいるときの寂しさのほうが、「人と出会えてもこんななのか」と深く絶望するという、当事者だからわかる心情を描いている。

 うのさんが引きこもり生活をやめ、社会に出てきたのは、2011年の東日本大震災がきっかけだった。後に、「被災者の体験談を漫画で描いてほしい」と個人から依頼され、15ページほどの漫画を描いた。