経験から学ぶための
原動力は何か?

 成長し続ける人は、挑戦し(ストレッチ)、振り返り(リフレクション)、楽しみながら(エンジョイメント)仕事をしている。しかし、それはわかるけれども、なかなかそうした気持ちになれない、という方がいるかもしれない。実は、これら3要素を自然な形で身につけ、高いレベルで維持させていくためには原動力が必要である。

 優れたマネジャーへのインタビュー調査の結果、彼らは、経験から学ぶ力を押し上げる2つのドライバーを持っていることがわかった。一つは、仕事上の信念やこだわりとしての「思い」であり、もう一つは、成長を促してくれる他者との「つながり」である。 

「思い」と「つながり」こそが<br />経験から学ぶ力の原動力<br />神戸大学大学院経営学研究科教授 松尾 睦

「思い」が経験から学ぶための内なるドライバーであるとしたら、「つながり」は外からのドライバーといえる。図1に示すように、これら2つの要因が、ストレッチ(挑戦する力)、リフレクション(振り返る力)、エンジョイメント(楽しむ力)から構成される大きな車輪を回しているのだ。植物でいえば、土から栄養を吸い上げる「根っこ」の役割をしているのが、この「思い」と「つながり」である。