商工リサーチ情報本部の関雅史氏は、急激な店舗展開が「逆に裏目に出ることもある」と述べ、ステークスでは期間限定のサービスが恒常化したとみている。顧客の選択は厳しくなっているとし、「ただ安ければいいというわけではない」と話す。顧客には節約志向もある一方で、いいものにはお金を使うという傾向もあるという。

 日本フードサービス協会によると、国内外食産業は15年で約25兆円の規模となり、1997年の約29兆円をピークに市場は縮小している。少子高齢化が進む国内市場ではコンビニエンスストアやスーパー、デパート地下の総菜売り場が充実してきており、コンビニでイートインスペースが普及するなど、「中食」と呼ばれる分野が急成長している。顧客の節約志向もある中で、人手不足や食材価格の上昇などもあり、外食産業の経営は厳しさを増している。

外食産業全般については、「すき家」や「なか卯」、「華屋与兵衛」などを展開しているゼンショーホールディングスが直近の決算資料で、依然として消費者の節約志向が強く、労働需給ひっ迫の状況が続いていることなどで「厳しい経営環境」としている。サイゼリアも同様の資料で、顧客嗜好の多様化やコンビニなどとの競争激化で「厳しい経営状況」が続いると指摘し、人件費や円安による輸入食材価格の高騰も懸念されるという。

 外食産業の経営をみる上では、材料費を中心とする原価率の高さが大きな特徴だ。原価率は「すかいらーく」の直近の決算資料などの分析からファミレスで3割程度とみられ、「くら寿司」を展開する「くらコーポレーション」の決算資料などから回転寿司で5割程度と推測される。ハンバーガーチェーンの日本マクドナルドホールディングスの原価率は86%に達し、そのうち材料費(対売上高比26%)や労務費(同21%)が多くを占める。くらコーポレーションでは原価率46%のうち、9割以上が材料費だ。くらコーポレーションでは原価の一部に労務費も含まれるが、販売管理費に占める給与手当は対売上高比で25%となっている。

 外食産業で上場企業の業績動向をみると、しゃぶしゃぶやすき焼きの専門店を展開する木曽路は中間期で売り上げが伸びず赤字決算だった。くらコーポレーションも足元の業績は伸び悩んでいる。

 総務省の消費者物価統計をみると、17年の食料物価指数は上昇傾向となっている。さらに人手不足で人件費も上昇している。ステークスなどのステーキ店は低価格で商品を提供するビジネスモデルだが、高い原価率で経営を成り立たせているのは顧客を高回転させる集客力だ。いきなり!ステーキのように立ち食いなどの独自路線が顧客の支持を得られればいいが、ステークスのように集客力に陰りが出るとたちまちビジネスモデルが崩壊してしまう。商工リサーチの関氏は「危うさ」を指摘している。

(浅井秀樹)

AERA dot.より転載