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金融市場異論百出

ユーロ危機で中国依存高まる
欧州小売り業界の対応に学ぶ

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2011年12月28日
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 中国人旅行者の購買力は世界の主要都市でますます注目されている。特に、ユーロ危機で消費に影が差している欧州の小売り業界にとって、中国人買い物客を取り込めるか否かは、彼らの業績に決定的な影響を与えている。

 Atout Franceの統計によると、中国人観光客が2010年にフランスで落とした金は前年比+60%と急増。11年も大幅に増えているようだ。観光客数としては米国人のほうが多いが、彼らはあまり金を使わない。1人当たり支出額は中国人の4割にとどまるという。

 パリの大手デパート、プランタンの売り上げの40%は海外からの旅行者によるもので、そのうちの3分の1が中国人だ。彼らは1人当たり約13万円の買い物をしていく(「ニューヨークタイムズ」9月14日)。隣接するデパート、ギャラリー・ラファイエットも、ターゲットを明らかに日本人から中国人に移している。中国語を話す店員が大勢配置され、最上階には中華レストラン、四川パンダも用意されている。

 ロンドンの高級デパート、ハロッズは、税引き前利益前期比39%増という絶好調の業績を記録した。その最大の要因は中国人客の増加である。中国人客は同店で1人平均なんと約43万円も支払うという。バーバリー幹部によると、多くの中国人は「ロンドンでこれを買った」と話すことが商品の価値を高めると思っている。彼らは自国にいるときの6倍も出費する。このため同社は、中国人客が増える12年のオリンピックに合わせ、ロンドン中心部に約25億円を投じて旗艦店を建設している(「フィナンシャルタイムズ」12月16日)。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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