私が心を動かされた3つのポイント

 本書を読みながら、私が心を動かされたポイント3つにぜひ注目していただきたい。

「すごい仕事をしたい」「やりがいのある、自分の好きなことをキャリアにしたい」と夢を膨らませる若者は、すごい仕事(=希少で価値がある)が欲しければ「希少で価値のあるものをお返しに差し出しなさい」、これがポイント1点目。

 自動車メーカーの入社面接で「子どもの頃から車に興味があるからです」、出版社で「読書が3度の飯より好きだからです」などと言うのは、「〇〇大学に子どもの頃から憧れているからです」と面接で言うだけで〇〇大学に入るのが不可能なのと同様にムリ。希少で価値のあるものをどうやって身につけるのか、どうすれば「突き抜けた人」になれるのか、具体例をふんだんに交えて説明している。

 ポイント2点目は、魅力的な仕事の3つの条件、創造性、影響力、自由(度)を手に入れよう、というアドバイス。自らのクリエイティビティで形にする未来、社会にインパクトを与えるような活動や商品、仕事をする時間も空間も自分でコントロールできる自由、これらの条件のうち、2つ以上が揃う素晴らしい仕事につくにはどうするか。

 ポイント3点目は、好きになれる仕事は自分の得意分野の周辺領域にあるから好奇心のアンテナを張ってよく見ておきなさい、というアドバイス。これは私自身の子育て後のセカンドキャリア形成においても大いに役立った。要は、目の前にある仕事を地道に着々とこなすのが遠回りのようで実は近道。長期目標と短期目標を意識的に分けて心に留め、短期目標をさらにブレークダウンして次々とこなしていく、その過程で、自分にしかできない希少で価値のあるスキルを確実に手に入れて、レバレッジをかけてステップアップする。実にわかりやすい方法であり、実用的なアドバイスである。