川口隊長が若かりし頃
主演した『満員電車』

 今回の映画は、1957年制作の『満員電車』です。

『満員電車』 /価格2800円+税/ 発売元・販売元 株式会社KADOKAWA

 主演は川口浩。私と同じ40〜50歳の方だと、"前人未到"の地を探検する「川口浩探検隊」の隊長としてなじみ深いかもしれませんが、この映画では大学卒業直後の美青年、茂呂井民雄として主役を張っています。

 そして、タイトルの『満員電車』とは、大量教育、大量就職、大量生産、大量消費の中、個人が軽視される世情を皮肉っており、映画で民雄が「われわれが希望を持って座れる座席なんてどこにも空いてやしない」と嘆く場面があるなど、当時の社会を知る上で非常に面白いのですが、今回は診療報酬に関する部分に特化して話を進めます。

 民雄は、「平和大学」という一流大学を晴れて卒業。「ラクダビール株式会社」という一流会社に就職が決まったのですが、土砂降りの卒業式でビールを飲んだ際、虫歯がうずき始めたため、街の歯医者に行きます。

 ところが、歯医者の小さな待合室は患者であふれかえっています。結局、民雄は最後に診てもらうことになるのですが、歯医者とその奥さんの間で交わされる会話は、診療報酬の在り方を考える上で、非常に興味深い内容を含んでいます。

歯医者 (疲れた様子で治療室から出て)「あ!まだいる。僕は昼飯を食わずにやっているんですよ。(民雄に)早く入ってください、早く入ってください!」

奥さん 「健康保険の安い料金しか取らないからはやり過ぎるんですよ」

歯医者 「うるさい!健康保険にならなきゃ客は来ないんだ!」

奥さん 「忙しいばっかりでちっとも儲からないのに…」

歯医者 「バカ!客が来なければやっていけないじゃないか!」