ここで注目してほしいのは、健康保険料の部分です。既に述べた通り、まだ国民皆保険が導入される前の映画ですが、民雄が勤めるビール会社は一流企業なので、健康保険組合(健保)に加入している設定なのでしょう。300円が保険料として差し引かれています。

 これに対し、残業分を除く本給は1万6000円ですから、仮に単純計算すると保険料率は1.875%という計算になります。つまり、これが診療報酬として支払われる財源の一部になっていたわけです。

 これがどれほど少ないか、今と比較してみましょう。健康保険組合連合会の集計によると、健保の被保険者が負担している平均保険料は2016年度現在で4.154%。今とは制度が違うため、単純に比較はできないですが、民雄の時代と比べると、はるかに高い保険料を私たちは負担していることになります。それでも国民健康保険に加入する人はもっと高い保険料を払っているので、健保加入者は相対的に恵まれているのですが。

 しかし、高い保険料は単に高いだけではありません。その分だけ医療費が増えているのです。

国民医療費と、GDPに対する比率の推移

出典:厚生労働省「国民医療費」を基に作成