だが高度にシステム化されているからといって、どの会社の製品も同じというわけではない。横河システム建築が開発・提供している「yess(Yokogawa Engineered Structure System:イエス)建築」は、同社独自の鋼構造技術を生かしたシステム建築の信頼のブランドだ。

 100平方メートルから5万平方メートルクラスの建物に対応し、創業以来約8200棟の受注実績がある。2016年度の受注面積では、72万平方メートルに上り、全国着工面積に対するシェアは5%に達しようとしている。

30%~40%の軽量化を実現する応力勾配に沿った設計。軽量化は耐震化につながる。

 yess建築が多くの顧客に採用されている理由は、同社が業界のリーディングカンパニーであるという信頼と、yess建築が「施主の皆さまのご要望にフレキシブルに応えるオーダーメード感覚のシステム建築」(大島社長)という点にある。スパン(梁を支える柱と柱の距離)、間柱(柱と柱の間にある構造材)、桁行き(桁の長さ)、軒高(軒の高さ)などを1ミリピッチで設定でき、30トンクラスのクレーンの設置も可能。発注する建物がどのように仕上がるのかは、全国980社のビルダー(地域の建設会社のネットワーク)に向けて同社が提供している「yess見積3Dシステム」(下囲み参照)で確認できる。

 柱や梁に使用する同社の「ビルドH鋼」は高張力鋼材を採用し、力のかかる部分は太く、力のかからない部分は細くなるように自社で加工している。このため規格品のH鋼よりも30~40%も軽量化が図れるため、最大60メートルのスパンにも対応できるわけだ。建築のプロでもシステム建築とプレハブ建築を混同しているケースがあるが、このように特徴を見ていくと、両者はまったく違う建築物であることが分かるだろう。

 yess見積3Dシステム 
完成イメージを3Dで見られる

 建築に不慣れな施主に対して、完成イメージを3次元画像で示すことができる「yess見積3D」システム。横河システム建築が全ビルダーに提供している。建物形状を確認しながら、寸法・建具配置・色も自由に設定。写真と同等の3次元画像が作成できる。「外観は黒を基調に白いラインを引いて」といった施主のオーダーにも、その場で応えることができる。さらにGoogle Earthの航空写真に取り込むことで、景観に自社の建物が調和するのを検証することもできる。このシステムを使えば施主の意向を反映した図面、見積書の作成も簡単だ。