一方で、派遣社員と相対する側の倫理観も試される。昨年4月に連合(日本労働組合総連合会)が行ったアンケート調査では、「これまでに契約期間や更新回数に上限がなかったが、新しい契約では上限が設けられた」と答えた派遣社員が現段階で17.9%、「雇い止めがあった」と答えた派遣社員は10%もいた。

 実際、昨年12月末に17年間継続して派遣社員として働いていた女性が雇い止めに遭ったと報じられた。2015年の施行日から3年継続の見込みはなく、2年3ヵ月の雇用期間しかないということで雇用の安定化措置を免れ、同時に5年の無期転換請求も免れるわけだ。

「脱法は許されませんが、行政指導がどれだけ功を奏するのか。長年勤務を継続してきた労働者がこうして切られる事態を見ていると、派遣労働者の選別も進むのではないかと懸念されます。年齢なども要素になりかねないと思います」と中野弁護士は問題視する。

派遣会社の営業やコンサルタントに相談し
「正しい知識」を

 そんな中でも、特定の仕事に熟達した派遣社員の能力を買い、無期社員の受け入れに前向きな企業や、そうしたニーズに合わせて、最初から無期雇用派遣を専門で雇い入れている大手派遣会社も出始めた。人手不足が深刻化するなか、目先のコストばかり気にして優秀な人材を逃せば、結局はビジネスの機会損失につながるからだ。こうした先見の明がある企業も存在することは、派遣社員にとって喜ばしい。

 いずれにせよ派遣社員は、派遣会社や派遣先企業の判断を待っているだけでは始まらない。繰り返すが、本来2つのルールは、派遣社員の雇用の安定、有意義な働き方の実現を目指すためのものだ。来たるべき日に向け、今から「正しい知識」を身に付けよう。自らが所属する派遣会社の営業マンやコンサルタントに相談に乗ってもらってもいい。転職支援を手がけている会社なら、この機に自分を大切にしてくれない職場に見切りをつけ、新天地を探してみるのも手だ。