習近平による
毎年恒例の新年挨拶

「習近平新時代」の中国は経済発展しても自由は限られる

 2018年の本連載は、習近平中共中央総書記・国家主席・中央軍事委員会主席(以下敬称略)が行う毎年恒例の新年の挨拶をレビューするところから始めたいと思う。

 昨年末に行われた挨拶の冒頭で、2017年に中国共産党の第19回大会を開催し、「全面的に社会主義現代化国家を建設するための新たな道のりが始まった」と述べた習近平は、2017年に中国共産党が収めた成果を羅列的に紹介した。

・国内総生産が80兆元の大台に達した
・都市部で新たに増加した就業人口が1300万人を越えた
・社会養老保険が9億人以上を網羅するに至った
・基本医療保険が13.5億人を網羅するに至った
・1000万人以上の農村貧困人口が貧困からの脱却を実現した

「各民生事業が加速的に発展し、生態環境が徐々に改善し、人民群衆はより多くの獲得感、幸福感、安心感を得るようになっている。我々は全面的に小康社会の建設を実現するという目標にまた一歩近づいた」

 小康社会とは大まかには「少しゆとりのある社会」を指し、1970年代末から80年代初にかけて、鄧小平が中国経済社会の発展のためのロードマップを描く過程で提起した概念である。中国共産党は「全面的に小康社会を建設すること」を“2つの100年目標”のうちの第一段階、すなわち中国共産党結党百周年に当たる2021年に実現すると目標を定めている。

 中国はXX周年という儀式を歴史的に重んじ、政治的に利用する国であると感じてきたが、習近平政権ではそれを高度に重視し、国威発揚につなげようとしている姿勢が見て取れる。習近平は3つの儀式を紹介している。

「我々は朱日和連合訓練基地で軍事パレードを行い、中国人民解放軍建軍90周年を記念した。香港返還20周年の際、私は香港へ行き、祖国が強い後ろ盾となるなか香港が長期的に繁栄し、安定している状況をこの目で見てきた。明日はより良くなるのは必至であろう。我々は全民族抗日戦争勃発80周年の儀式と南京大虐殺死亡者国家公祭儀式を行い、歴史を刻み、平和を祈った」