[ワシントン 12日 ロイター] - トランプ米政権は新型核兵器を配備し、非核の大規模な攻撃に対して核兵器で反撃する余地を明白に確保する──。ニュースサイトのハフィントンポストがこのほど伝えた最新の「核態勢見直し(NPR)」の素案が正式化された場合、こうした事態が起きるかもしれない。

軍縮問題の専門家からは、核戦争リスクを高めかねないとの懸念も出ている。

NPRは国防総省が策定しており、直近では2010年にオバマ前政権下で核兵器の役割を縮小させることを目指すと表明されていた。

しかし今回の素案は、世界で核兵器の重要性が低下していくというオバマ政権の想定は間違いだったことが証明されたと断言。「世界はより安全ではなく危険になっている」と強調した。

その上で核兵器を敵対勢力の抑止手段として積極的に受け入れ、老朽化しつつある米国の核兵器の近代化を支持している。

米議会予算局(CBO)の見積もりでは、核兵器の近代化と維持のために今後30年で要する費用は1兆2000億ドルを超える。それでも素案は、核による抑止が有効に機能すれば、戦争よりもコストがかからないと主張する。

国防総省は、NPRは最終的に国防長官と大統領の審査を経て承認されると説明しつつ、各種戦略や見直しにおいて決定前の段階の素案に関する議論はしないと述べた。

一方ある関係者はロイターに、報道された素案は本物だと語ったが、トランプ氏に提示されて承認を得る内容がそれと同じになるかどうかは明言しなかった。

<あいまい戦略>

素案はロシアと中国が核兵器の近代化を進め、北朝鮮による核を用いた挑発行為が周辺地域や世界の平和を脅かしていると指摘。これに対して米国は、すべての条約を順守しながらも水上艦艇から発射する核弾頭の巡航ミサイルの最新型を開発し、現在保有する潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の一部の弾頭について軽量化に向けた改良を行う方針を打ち出している。

さらに素案は、米国の核兵器を使った報復につながる「極限状態」に非核の重大な攻撃を含める可能性にも言及した。軍縮問題の専門家は、米国の電力網を壊滅させるような大規模サイバー攻撃などが、こうした極限状態とみなされてもおかしくないとの見方をしている。

民間シンクタンク、アームズ・コントロール・アソシエーションの軍縮調査ディレクター、キングストン・リーフ氏は、素案は長らく米国が保持してきた路線から逸脱しているとした上で「米国が核兵器を使用し、そのために核兵器使用のリスク自体が高まるというシナリオがさまざまに拡大していく」と警鐘を鳴らす。

オバマ政権が示した、米国は核拡散防止条約(NPT)に加盟し、それを順守する非核保有国は核による攻撃や恫喝はしないという約束は、素案でも基本的に踏襲された。ただ、非核技術がもたらす脅威が高まっている点を踏まえ、そうした政策を変更する権利を留保する姿勢も明らかにした。

ヘリテージ財団のシニア政策アナリスト、ミカエラ・ダッジ氏は、米国がいつどのように核報復に動くかは、敵対勢力の抑止を狙って意図的にあいまいにされたようだと分析した。

(Phil Stewart記者)