休日を増すことによって、経済活性化につながるという意見がある。これは本当か?

 この「まとまった休暇が増えると、レジャー消費が増える」というアイディアは、レジャー産業からの期待の声が、そのままマクロの景気押し上げ効果という見解に化けてしまったように思う。

 レジャー産業の側には、地域ごとに休日をずらせば、閑散期にも観光客が訪れるようになり、きっとレジャー消費が全体を押し上げるはずという思惑もあったのだろう。

 だが、「レジャーが増える=消費全体が押し上げられる」というアイディアは、少し詳しく分析してみると、どうやら怪しいということがわかった。

 検証する材料として、代表的な消費指標である総務省『家計調査』が利用できる。この調査では、アンケート回答者が日々つけた家計簿をまとめて、日次データとして開示されている。

 それによれば、2007~2011年のデータから計算した同期間の祝祭日では、1日当たりの平均消費額が6677円になっている。曜日ごとの平均消費額を見ると、土曜日7406円、日曜日7097円と、祝祭日の消費額を大きく上回っている(図表1参照)。平日の平均消費額は6556円と、祝祭日とあまり変わらない。祝祭日を増やしても、消費は増えそうにない。

「休日を増やせば景気は良くなる」説のウソ<br />なぜ、人々は金曜日に支出を増やすのか<br />――熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト