新聞を眺めていると、「ネット被害」という文字をひんぱんに目にします。「だからネットは怖い」と思ってしまうのでしょうね。

便利さの裏側で増える
ネット犯罪

 図1をご覧ください。警視庁がまとめた2002年1月から7月までの犯罪発生件数です。7ヵ月の合計が約28万件なので、12ヵ月に換算すると約48万件となります。同じ時期のネット犯罪が約2万件ですから、犯罪全体に占める割合はまだ4%程度でした。

図1:犯罪件数(2002年1~7月前年度比較)
図1:犯罪件数(2002年1~7月前年度比較)

 次に図2は、都道府県警察のサイバー犯罪の検挙・相談件数です。2005年上半期は5万479件で、前年同期(3万3066件)より50%も増えています。一般の犯罪は1年間で50%も発生件数が増えることはありませんから、犯罪全体に占めるネット犯罪の割合が増えていき、注目を集めるようになったのです。

図2:サイバー犯罪の検挙・相談件数
図2:サイバー犯罪の検挙・相談件数

 とはいえ、リアルな犯罪のほうがまだずっと件数は多いのですから、ネットを危険地帯とおそれるのは考えすぎです。どんなものにもマイナスの部分はあるものです。リスクを知って使いこなせば、インターネットほど便利なツールはないと思います。

誰が「リスク・バズ」を
発生させるのか?

 「ネット被害」と一口にいっても、その内容は様々です。スパイウェアなどのウイルス被害、フィッシングサイトによる詐欺被害、アダルトサイト閲覧による不正課金被害、最近ではウィニーによる個人情報流出被害など、本当にバラエティ豊かです。このようなシステムのセキュリティのすき間を突いたネット被害が世の中に広がっていく一方で、掲示板サイトへの書き込みやブログへの書き込みによるネット被害、いわゆるリスク・バズによる被害も広がっています。