経営×物流

逆張りのラストワンマイル戦略「送料実質値下げ」の成果は?

宅配各社が運賃値上げを発表した2017年。「送料実質値下げ」という逆張りの戦略で注目を集めたのが、有機野菜や無添加食材の宅配事業を展開するらでぃっしゅぼーや(本社・東京都新宿区)だ。消費者の間にも宅配料金値上げへの理解が広がる今、なぜ敢えて送料を引き下げる選択に至ったのか、その決断は吉と出たのか凶と出たのか――国枝俊成社長に、同社が進めるラストワンマイル戦略の裏側を聞いた。

くにえだ・としなり/1954年8月31日生まれ。78年4月日本電信電話公社入社。10年6月エヌ・ティ・ティ・ドコモ執行役員九州支社長、13年6月ドコモエンジニアリング常務取締役、14年5月らでぃっしゅぼーや社長。

送料実質値下げは成功か?失敗か?

――らでぃっしゅぼーやは店舗販売を行っておらず、商品は全て宅配で購入者の手に届きます。貴社における“ラストワンマイル”の位置づけを改めて教えてください。

国枝 食品宅配事業に特化する当社にとって配送スタッフである「らでぃっしゅクルー」は、お客様である会員と唯一、face to faceで会話できる存在です。クルーの対応が、らでぃっしゅぼーやそのものへの評価に直結し、当社と会員との間の非常に重要な接点となります。

――そうした中、17年10月2日から送料を実質値下げしましたが、どのような意図があったのでしょうか。

らでぃっしゅぼーやの新料金体系
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国枝 まずは、「送料実質値下げ」について少し説明します。当社では有機野菜のセット商品「ぱれっと」と、自社オリジナル商品などを単品から購入できる「カタログ注文品」の通販を展開しています。従来の送料は、「ぱれっとのみの注文」では購入金額に関わらず無料で、「ぱれっととカタログ商品の注文」と「カタログ商品のみの注文」は8000円以上の購入で無料となっていました。新しい送料体系では「ぱれっとのみの注文」と「ぱれっととカタログ商品の注文」、「カタログ商品のみの注文」の全ての場合で送料無料条件額を税抜5000円とし、基準額を大きく引き下げました。よりシンプルな送料体系にしたともいえます。

――新送料体系への移行では、購入金額が5000円未満だった会員による「買い上り」と、購入金額が8000円以上だった会員の「買い下がり」がともに見込まれますが、勝算はあったのでしょうか。

国枝 ビジネスライクに考えて、「買い上り」の効果が「買い下がり」によるマイナスを吸収するとの算段はありました。らでぃっしゅぼーやの購入単価のボリュームゾーンは5000円未満であり、こうした人たちの買い上りが期待できたのです。また、宅配料金の値上げが注目される中、真逆である"値下げ"は目立ちますので、そのPR効果も見込みました。

――新送料体系へ移行して2カ月が経過しましたが、成果はいかがですか。

国枝 ほぼ想定通りで、採算もプラスです。当初はもっとマイナスが発生すると見ていましたが、買い下がりよりも買い上りをした会員の方がはるかに多い状況です。

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1969年10月の創刊から約40年間「経済の中の物流」という視点から一貫した報道を行っている物流業界専門紙。物流報道の中に“荷主”という切り口を持った媒体として評価されている。主な内容は荷主企業の物流動向、行政の物流関連動向、トラック、倉庫、鉄道、海運、航空など物流企業の最新動向、物流機器、WMSソフトなどの関連ニュース等。週2回発行。


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