Strategy&の戦略コンサルタントである筆者は、「戦略と実行を別個の問題とする時代は、終わりつつある」と述べる。両方をひとつながりのプロセスとして成功させるために、リーダーはどう対処すべきか。その10のアジェンダが示される。


 ここ数十年というもの、リーダーのプロフィールを表すユニークな表現がたくさん編み出されてきた。よくお目にかかる2つの例として、「ビジョナリー」と「オペレーター(実行者)」がある。前者は「戦略を擁し、成すべき素晴らしい物事を思いつく人」、後者は「物事をやり遂げる人」だ。

 人々は直感的に、これら2つの分野を両立するリーダーがいるはずだと考えるが、実際には数少ない。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の戦略コンサルティング部門であるStrategy&(ストラテジー)が実施した、さまざまな業界の経営幹部700人を対象とした世界的な調査によれば、戦略と実行の両面で優れていると回答した企業リーダーは、わずか8%であった。

 戦略か実行のどちらかが優れていれば成功できる、と考える読者もいるかもしれない。偉大なビジョナリーであれば、人々の世界観を変えられる、あるいは驚異的な実行者であれば、競合他社を凌ぐことができる、と。

 だが、我々の経験と研究から示唆されるのは、「戦略と実行を別個の問題とする時代は、終わりつつある」ということだ。必要とされているのは、顧客に大きな約束を提示することができ、かつ、その約束を自組織が果たせるよう助けるリーダーだ。