いろんな経験をたくさん話したほうが有利か

  150字で書く練習をしてみると、改めて、150字というのがいかに短いかわかる。
  「言いたいことがたくさんあって、とうてい150字に入らない。だいたい、今までの二十何年間と、これからの三十何年間を、150字なんかで書かせようということ自体失礼ではないか」

  そういう人の書いたものを見せてもらうと、たいてい、
  「ゼミは文化人類学で、アルバイトは家庭教師と塾の先生で、サークルはテニスと軽音で、英検の1級で、趣味は、読書と映画鑑賞で、好きな作家は、村上龍と、映画では、ゴダールの初期のころのもので、高校のときから友達とバンドをやっていて、大学2年生のときに、タイとベトナムを旅行し……」
  といった具合に、やってきたことの羅列になっている。

  「私はこんなにいろんなことをやってきました」
  というアピールなのだが、その話を聞かされる面接官にしてみれば、たまったものではない。年表を聞かされているように退屈で、なにひとつ印象に残らないのだ。
  二十何年を150字で言えないというけれども、二十何年も話につきあっている暇はないのだ。言いたいことを、羅列してはいけない。「いろいろやった人」とは、見てもらえない。結局、「何がなんだかわからなかった」ということになる。

  ネタは1つに絞ることだ。
  「どの1つにしていいかわからない」
  というのなら、1つに絞る基準は、一番面白い話で、しかも、自分のアピールになる話にすること。言いたいテーマがたくさんあって(普通たくさんあるはずだけど)、とりあえず、それぞれ、1つのテーマにつき150字でまとめてみる。

  テーマ別にいくつも書けるだろうし、1つのテーマでも、何通りにも書けるだろう。
  それを、友達に見せたり、OBに見てもらったり、就職課(キャリアセンター)の先生に見てもらったり、もちろん自分でも、どれが一番興味を引きそうで、自分を売り込めるかどうかで絞り込むのだ。

  志望動機も同じだ。やりたいことがいくつもあるだろうから、それぞれを150字で書いてみて、そのなかから絞り込む。