受注したプロジェクトのトラブルにより、2016年度決算が19年ぶりの赤字に転落した日揮。日揮OBの石塚忠氏を社長に据えた異例の緊急体制で、ゼロからの出直しを図る。(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

「タガが緩んでいる」。エンジニアリング会社大手、日揮の石塚忠社長の自社を見る目には容赦がない。

 2016年度の同社の業績は、エンジニアリング業界が“冬の時代”にあることを如実に感じさせる内容だった。売上高が前年度比21.2%も減少したのだ(図(1))。

 原油価格が14年半ばから16年初めにかけて急落し、日揮や米ベクテルなど5社で世界需要をほぼ独占する液化天然ガス(LNG)設備を含め、得意の石油、ガス関連のプラントマーケットが根こそぎ冷え込んだ(図(2))。

「受注競争に負けたわけではなく、案件自体が消えてしまった」(広瀬岳彦・日揮財務部長)のだ。14年度に7696億円あった受注高は、15年度に3206億円にまで激減してしまった。