おーい、NAMMが来るぞー!

 毎年恒例、世界最大の楽器見本市「The NAMM Show 2018」が、1月25日から28日の4日間に渡ってアナハイムのコンベンションセンターで開催される。新しい技術、各メーカーの方向性や勢い、楽器業界全体のトレンドを読むには、これを見るしかない。

 しかし、例年どおり我々はアナハイムには行けない。これを読んでいるあなたもおそらく行けていないのだろう。が、新製品の情報なら、NAMM開幕に先駆け、各社リークやらリリースやらの情報戦が始まっている。それを見逃しさえしなければいいだけの話である。

 さあ、今年もコタツの中からNAMMの情報に浸ろう。そして、今年の物欲をどの方面に向けるか、年間予定をあらかじめ組んで、出費ムラを防ごう。

 初回はタマ数の多いコルグの目玉製品から。昨年は、初代kaossilatorから始まりminilouge に着地した「偉大な10年」を終えた小休止の一年だったが、今年はその流れを受け継ぐ製品が続々と出てきている。

段ボールでも弾いてみたい
「KORG Gadget for Nintendo Switch」

今年はKORG Gadget for Nintendo Switch! NAMMショーの注目製品

 「KORG Gadget for Nintendo Switch」が、いよいよ今年の春に発売になる模様。個人的には、10年前に発売されて大ヒットとなった、ニンテンドーDS用「KORG DS-10」以上のインパクトがある製品になるのではと期待している。

 この製品の母体となった「KORG Gadget」は、iOS/macOS向けの音楽制作ツール。「ガジェット」と呼ばれるドラムマシーンやシンセなどの音源と、その演奏を打ち込むシーケンサーで成り立つ、コンパクトで扱いやすい、いわゆる「DAW」である。それを佐野電磁率いる株式会社DETUNEとの共同制作で、Nintendo Switchに落とし込んだ。

 そうしてできたSwitch版は、なんと言っても「対戦型DAW」という、いまだかつて聞いたことのない仕様の音楽制作ツールであることが新しい。最大4人のプレイヤーが参加でき、他人のシーケンスを消す、足すといったトラックへの干渉(妨害?)もできる。しかしこれ、私は怖い。

 例えばオンラインでDAWのプロジェクトデータを共有しながら制作を進めている最中、「このトラック邪魔なんで消しておきました」なんてことになると、バンド解散の危機にまで発展しかねない。だが、Switchならゲームということで許されるのだろうか。だとしたら素晴らしい。

 対戦中の画面は4分割され、HDMI 接続でテレビやプロジェクターに表示できるので、プレイヤーはゲーム感覚で楽しめる。はたから見る立場からは、おそらくメンバー間のプロレス、あるいはライブコーディングのセッションプレイのように楽しめるはず。

 内蔵ガジェット=楽器は16種類。Joy-Conのセンサー類を生かしたインターフェースで、入力の柔軟性やダイナミックさはSwitchならではのものになっている、はず。

 ちょっと期待してしまうのが「Nintendo Labo」での展開。段ボールでできたガジェットを想像してみるに、VRのインターフェースなんかより全然いいように思える。とりあえず Nintendo Switch を買って春が来るのを待とう!

謎のユーザー・オシレーターが楽しみ「prologue」

 mini、monoと来て、今回はpro。コルグの新アナログシンセサイザー「logue」シリーズの第3弾。「4ボイスじゃ足りないよねー」というminilogueに対する声はよく聞いていたので、そこに向けた製品なのだろう。

 ここ10年ほどのコルグは「テクノ人類御用達」のイメージが強かったが、バリバリに弾きまくりたい人には待望の製品かもしれない。鍵盤のクオリティーにもこだわり、Made in Japanをうたっている。

 同時発音数とキーの数の違いで、バリエーションは2つ。16ボイス61鍵の「prologue-16」が23万7600円、8ボイス49鍵の「prologue-8」が18万3600円。今までのコルグの相場感からすれば、確かにお高いが、16ボイスで20万円台なら大バーゲンだ。

今年はKORG Gadget for Nintendo Switch! NAMMショーの注目製品
16ボイス61鍵の「prologue-16」
今年はKORG Gadget for Nintendo Switch! NAMMショーの注目製品
8ボイス49鍵の「prologue-8」

 16にはロー・ブースター/コンプレッサーの「L.F. COMP.」がマスターエフェクトとして載っていて、そのためのVUメーターも付いている。その分、ちょっとカッコいい。16と8の価格差は大きくないので、16が結構人気を集めるような気がする。

 基本は2VCOのアナログシンセながら、ニュースはデジタル音源にある。マルチエンジンと呼ばれる3種の音源が載っていて、ひとつは「ノイズ」、ひとつは「VPM」(一般的に平たく言うとFMと称されるアレ)、そしてもうひとつは「ユーザー・オシレーター」。

 このユーザー・オシレーターの詳細は不明だが「自作のオシレータープログラムがロード」できる領域が確保されているらしく、またデフォルトでモーフィング・ウェーブテーブルが載っているそうだ。オシレーターやエフェクトは「Prologue SDK」というツールや、専用のライブラリアンソフトで書き換えが可能らしい。発売は今年2月中旬の予定。

今さらながら必須の「volca mix」

 volcaシリーズが発売された最初の頃から「ミキサーやってる(開発してる)んですよねー」という話は聞いていた。それが今ごろ? という気もしないではないが、待っていた人は多いだろう。volca複数台持ちユーザーなら、必ず買わなければならないモジュールだ。

今年はKORG Gadget for Nintendo Switch! NAMMショーの注目製品

 まず、volca 3台分のパワーサプライとして機能。接続機器の一括同期ができるシンク・アウト端子付きで、テンポ管理もできるマスターコントローラーとして働く。もうこれだけで買いだ。

 ミキサーとしては、3台のvolcaをミックスできる4チャンネル仕様。1と2がモノ、3/4でステレオ。これはモノラルのvolca keys、volca bass、volca beats、volca kick、ステレオのvolca sample、volca fmを、それぞれ適当に割り振って使ってね、というコルグ様のお告げである。

 各チャンネルにはワンノブタイプのLO/HI CUTフィルターとミュートボタンが付き、フェーダーを目一杯上げると6dBのブーストがかかる。内蔵エフェクトは実戦対応型で、モノ入力をステレオに広げるエキスパンダー、そして低域の入力に反応して高域のレベルが落ちる、マルチバンドコンプレッサー的なものが入っている。これでサイドチェーンコンプの効果が生まれる。

 ちなみに各チャンネルにセンドアウトレベルのノブがあり、そのリターン端子である AUX IN はステレオミニという仕様。これは明らかに外部エフェクトとして mini kaoss pad をつなぎなさいというお告げである。

 そして時期未定ながら、volca3台とvolca mixが入れられるセミ・ハード・ケース「VOLCA CAMP」の発売もアナウンスされている。これもvolca2台しか持っていないなら、今のうちにもう1台買っておけというお告げに違いない。

 ミニフォーンの入力端子を持ったコンパクトミキサーは選択肢が少ないので、volcaユーザーならずとも注目だろう。volca mixは1万9440円で2月下旬発売予定。

 次回はギター関連製品をお届けする。

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著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ