不祥事続きの大相撲、救いは金星を獲った二人の力士

 相撲界をまた新たな不祥事が襲った。

 今回、発覚したのはエジプト出身の十両力士、大砂嵐(25)の無免許運転疑惑だ。大砂嵐は年明けの3日、同じエジプト生まれの奥さんに「雪を見せてあげたい」と長野をクルマで訪問し追突事故を起こしたという。

 日本相撲協会では現役力士の自動車運転を禁止しているため、これだけで規定違反になるが、大砂嵐は運転免許を所持してさえいないそうだ。本人は国際免許を持つ奥さんが運転していたと弁明しているようだが、防犯カメラには大砂嵐が運転する姿が映っているともいわれ、状況は限りなく黒に近い。無免許で事故を起こしたことが明らかになれば大問題だ。大砂嵐はもとより師匠の大嶽親方には重い処分が下されることになるだろう。

相次ぐ不祥事に相撲で
応えるはずの横綱二人が休場に

 しかし相撲界はどうしてしまったのか。

 昨年の11月場所中には横綱日馬富士の暴行事件が発覚。相撲界を飛び越え世間を揺るがす大騒動に発展した。12月21日には、暴力問題をはじめとする不祥事再発防止の研修会が行われたが、年明けには立行司式守伊之助のセクハラ行為が明らかになり、そして今回の問題が続いた。

 不祥事というのは常に起きないように気をつけていなければならないものだが、暴行事件という不名誉な騒動が起こった後であればとくに気を引き締め、協会全体で名誉挽回に務めなければならない時期だ。にもかかわらず不祥事が相次いで起こるのは、相撲協会という組織に規律を徹底できない甘さがあるのではないだろうか。

 本来なら信頼回復のための本場所にしなければならなかった初場所も、ファンの期待に応えられる内容になっているとはいえない。相撲協会が描いた理想のシナリオは人気ナンバーワン横綱の稀勢の里の復活と、荒っぽい取り口で批判を浴びるようになった横綱白鵬がかち上げと張り手抜きで強さを見せることだっただろう。だが、稀勢の里は故障が癒えていないのか、5日目までに3つの金星を与えて休場、白鵬は左足親指を痛めるというアクシデントはあったにせよ、かち上げと張り手を封印したことで2敗を喫し、休場する羽目になった。ただひとり残った横綱鶴竜が全勝で孤軍奮闘。それを1敗で追うのが関脇御嶽海と平幕の栃ノ心と大栄翔だけというのでは土俵が盛り上がるわけがない。

 また、横綱白鵬の取り口に対する横綱審議委員会(横審)の注文も、とってつけたような観がある。昨年の暮れ、横審は「白鵬は張り手、かち上げを15日間で10日以上行っており横綱相撲とは言えない、自身の自覚を促したい」と苦言を呈したが、ほんの2ヵ月ほど前の10月、横審は9月場所で1050勝の通算最多勝を更新した白鵬を特別表彰している。この時は、取り口に対して何の言及もなく実績を称えるばかりだった。