経営×ソーシャル
識者に聞く ソーシャルメディア進化論
2018年1月31日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

「パブリック」には適切な定義も和訳もない?日本は「公私二元論」の国

【長坂寿久氏×武田隆氏対談1】

「Public」という言葉を、あなたなら何と訳すだろうか? おそらく「公共」「公(おおやけ)」といった訳を当てるだろうが、それらの日本語が指し示すものと、ヨーロッパ、とりわけオランダで用いられる「Public」が意味するものとの間には、実は大きな違いがある──。そう指摘するのは、JETRO(日本貿易振興機構)在職中に長年にわたりニューヨークやオランダ等の海外駐在を経験し、現在もオランダの成熟した市民社会の研究をライフワークとしている長坂寿久氏だ。

「Public」に対する認識の違いは、時として国際社会から「日本はよくわからない国」と困惑のまなざしを向けられる要因ともなりうる。では、なぜこうした認識の違いが生まれたのか? そのことがもたらす影響とは? 長坂氏に詳しく聞いた。

アメリカが主導する
グローバリゼーションの限界

長坂寿久氏/一般財団法人国際貿易投資研究所客員研究員、逗子フェアトレードタウンの会代表理事

武田 隆(以下、武田) 長坂先生は、JETRO(日本貿易振興機構)にお勤めの時に、ニューヨークに4年半、オランダに4年近く駐在していらしたんですよね。

長坂寿久(以下、長坂) ええ。そしてニューヨークの前はシドニーに4年いました。

武田 各国を見てこられた上で、オランダでの駐在経験を通しての気づきを『オランダモデル』という1冊の本にまとめられた。実は本書は、私に大きな示唆を与えてくれた1冊でした。

 私どもが1998年ごろにオンラインコミュニティの構想を練った際、当初意識していたのはインターネットを生んだアメリカでした。

 しかし実際に自分たちの手でコミュニティを育てていくにつれて、コミュニティが有機的に機能するためには、オンライン上であっても実社会と同じように成熟した市民社会であることが大切だと気づいたのです。これがきっかけで、私たちはヨーロッパに注目するようになりました。

長坂 なるほど。

長坂寿久(ながさか・としひさ)
一般財団法人国際貿易投資研究所客員研究員、逗子フェアトレードタウンの会代表理事。神奈川県逗子市生まれ。明治大学政経学部卒、現日本貿易振興機構入構、シドニー、ニューヨーク、アムステルダム駐在。1999年拓殖大学国際開発学部(現国際学部)教授、国際関係論(NPO・NGO論)、2013年退任。公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン理事、認定NPO法人ACE(児童労働問題)評議員等。神奈川県ボランタリー活動推進基金審査会(会長)、日本フェアトレード・フォーラム認定委員長、等。映画評論家。オランダ関係では、アムステルダム市国際交流表彰(1997年)、蘭日賞(2009年)受賞。主な著書に、『新市民革命入門――社会と関わり「くに」を変えるための公共哲学』(2016年)、『NGO・NPOと「企業協働力」──CSR経営論の本質』(2011年)、『NGO発、「市民社会力」──新しい世界モデルへ』(2007年)、『日本のフェアトレード──世界を変える希望の貿易』(編著、2008)、『世界と日本のフェアトレード市場』(編著、2009年)、『オランダを知るための60章』(2007年)、『映画で読む21世紀』(2002年)[以上明石書店]、その他『オランダモデル』(日本経済新聞社、2000年)、『ユーロ・ビッグバンと日本のゆくえ』(集英社、2000年)『ベビーブーマー』(サイマル出版会、1988年)等多数



武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


識者に聞く ソーシャルメディア進化論

史上最も多くの人々がつながり合った今、私たちを取り巻く社会はどう変化していくのか? NTTドコモ、セブン&アイ、資⽣堂ジャパン、ライオン、森永乳業をはじめ300社超のマーケティングを支援してきたクオン代表 武田隆氏が、各分野の有識者とともに変わりゆくインターネット時代の未来を読む。

「識者に聞く ソーシャルメディア進化論」

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