他教科がイマイチでも、英語なら大丈夫!

それを踏まえたうえで、心に留めておいていただきたいことが、いくつかあります。

まず英語は本質的には「教科」ではないということです。いよいよ小学校でも英語が正式な教科として導入され、英語にも通知表で成績がつくようになります。すでに小学生のお子さんをお持ちの方のなかには、他教科の成績が芳しくなかったりして、ため息をついている人もいるかもしれません。

もしそうだとしても、英語には「大逆転」の可能性があることを覚えていてください。前述のとおり、第二言語の力は本来、国語や算数などよりも、音楽・体育・図工のような技能に近い性質のものです。
いわゆるお勉強が苦手な子でも、真っ当な方法・環境を用意しさえすれば、英語の力は着実に伸びていきます。ですから、決して最初からあきらめないでいただきたいのです。

J PREP酒田校の講師を務める一人は、高校2年までは偏差値40台で、真剣に勉強したことのない高校球児でした。通っていた学校も、いわゆる一流の進学校ではなく、普通の地方公立高校です。
しかし、高校2年生で一念発起して本格的に英語を学びはじめた結果、「国語」など他教科の成績も急上昇し、すぐに英検準1級に受かりました。彼は結局、国内の大学には進学せず、アメリカのコミュニティ・カレッジ(公立の2年制大学)に入ったあと、カリフォルニア大学バークレー校を卒業することになりました。

J PREPには「元高校球児を採用する」という方針があるわけではありませんが、もう一人、甲子園出場の経験を持つ元講師にも似たようなエピソードがあります。部活を引退し、大学に進学しようと模試を受けたところ、彼はなんと全国で最下位という「ビリギャル」も真っ青の点数を残しました。
ところが、彼も「英語」の勉強をはじめたところ、つられて「国語」や「社会」の成績も伸び、浪人こそ経験したものの、みごと上智大学に入学。現在はアメリカの大学院で応用言語学を学んでいます。

彼らの事例はやや極端ですし、比較的学齢が進んだ子のエピソードではあります。それでも正しい英語学習には、人生に激しい化学変化を引き起こす「触媒」としてのパワーがあることは、感じていただけるのではないでしょうか。
ひょっとしたら英語が、お子さんの一生を左右する自信の種になるかもしれません。そのためにもまずは、「この子は英語ができるようになる!」と親御さん自身が信じ、なおかつ「さりげなく」応援してあげることが欠かせないのです。

※注:本記事の内容は『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』から抜粋・再構成したものです。記事中の参照文献・おすすめ教材などは、こちらのサポートページでご確認いただけます。
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【著者紹介】斉藤 淳(さいとう・じゅん)
J PREP斉藤塾代表/元イェール大学助教授/元衆議院議員。
1969年、山形県生まれ。イェール大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。研究者としての専門分野は比較政治経済学。ウェズリアン大学客員助教授、フランクリン・マーシャル大学助教授、イェール大学助教授、高麗大学客員教授を歴任。
2012年に帰国し、中高生向け英語塾を起業。「第二言語習得理論(SLA)」の知見を最大限に活かした効率的カリキュラムが口コミで広がり、わずか数年で生徒数はのべ3,000人を突破。海外名門大合格者も多数出ているほか、幼稚園や学童保育も運営し、入塾希望者が後を絶たない。
主な著書に、『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』(ダイヤモンド社)のほか、10万部超のベストセラーとなった『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』(KADOKAWA)、『10歳から身につく 問い、考え、表現する力』(NHK出版新書)、また、研究者としては、第54回日経・経済図書文化賞ほかを受賞した『自民党長期政権の政治経済学』(勁草書房)がある。