日本企業イスラエルビジネスの勘所3つの「C」

 イスラエルを訪れたことのあるビジネスマンで、「いざ、ビジネスしよう」と思う方のなかには、イスラエルビジネスの難しさに直面している方も多いのではないか。

「よく話が変わる」「何をおいても交渉」など、イスラエル人とビジネスするやりにくさはあるが、相性が合う企業に出会った時、また、お互いの条件が合致した時など、これまで本連載でも再三再四論じてきた通り、彼らの技術力の高さ、優秀さの恩恵に預かり成功に導かれた日本企業も多い。

 最終回の今回は、3つのポイントを軸に、彼らとうまく渡り合っていくための私なりの秘訣を論じてみよう。キーとなるのは、「コミュニティ(Community)」「コミュニケーション(Communication)」「カルチャー(Culture)」の3Cであろう。

コミュニティ

 イスラエル現地の最先端の技術を活用しようとする経済活動は一筋縄ではいかないが、まず、単に現地事務所を設置するのではなく、現地「頭脳」を取り込む目的の経済活動のカギとなるのは「コミュニティ」であろう。

 コミュニティの1つ目の要素は、自社の経営戦略に準じ、自社が必要とする技術領域がある程度特定されていて、そうした領域のトップ層100人程度(いわゆるその領域のイケている人たち)へのアクセスができることであろう。

 「技術」は「人そのもの」である部分が大きい。メディア等で露出されるトレンド等を把握するのは比較的容易であるが、その次に来るトレンドを感じ取るには、「生」の人間との付き合い以上のものはない。AI(人工知能)、セキュリティ、フィンテック、自動運転関連技術とイスラエルが世界的にもトップを走る領域であれば、なおさらであろう。

 2つ目は、その技術領域の理解であろう。自社としてなぜその技術を大事にするかは無論、技術そのものの動向、競合の動向、その技術を凌駕していく技術など、押さえておくべきポイントはいくつかある。

 3つ目は、継続性。そのコミュニティと継続的につながっておくことであろう。そうしたトップ層の100人程度は、固定されるわけではなく、流動的である。仮にイスラエルに赴任してきて、そうした集まりに顔を出し続けるだけでは、成果は見込めないであろうし、この「コミュニティ」をうまく自社の活動に合理的につなげていく、自社独自の「コミュニティ」の存在が必要となってくる。

 そのために必要なのが次の「C」のコミュニケーションである。