Dahee Kim and Marius Zaharia

[ソウル/香港 18日 ロイター] - 韓国で仮想通貨取引が禁止される可能性が浮上したことによって、投資家の多くが恐れをなして相場から手を引く中で、規制は比較的容易に回避できると、一部のベテラン投資家は平静を装っている。

仮想通貨市場では今週、時価総額の3分の1に相当する約2000億ドル(約22兆円)が吹き飛んだが、こうした古参投資家は相場の乱高下には慣れている。彼らは「ホドラー(hodlers)」と呼ばれ、ビットコイン<BTC=BTSP>が出回り始めた当時、インターネット上で拡散された間違ったスペルで知られている。

昨年9月に中国が国内の取引所を閉鎖した際、ビットコイン価格は50%下落したが、その後2万ドル近くまで8倍に跳ね上がった。現在は1万ドル近辺だが、今回も似たような混乱を招くと指摘する声もある。

「政府が国内すべての取引所を閉鎖しても、投資家はいつでも海外に行き、そこでアカウントを開設できる」。韓国人の学生は、匿名でそう語った。「留学している友人に頼むこともできるし、自分で出向くことも可能だ。大した問題ではない」

仮想通貨の専門家は、この学生にはおそらく楽観できる十分な理由があると指摘する。取引禁止によって新規の市場参加者は減るだろうが、匿名で売買が可能なことや、ワンクリックでデジタル資産を世界のどこにでも移動可能であることを考慮すれば、世界的なコンセンサスの形成抜きに、既存参加者を規制することは困難だからだ。

シンガポールや香港などの規制は今でも緩く、日本は仮想通貨に関する規制づくりにおいて草分け的存在であり、企業と投資家を巻き込んだ幅広いエコシステムを奨励している。一方、ドイツは国ごとではなく、世界規模で規制を行うべきだと主張している。

<VPNやオフラインウォレット活用>

専門家によると、規制を逃れるには、まず仮想プライベートネットワーク(VPN)を使って当局からIPアドレスを隠すことだという。

そうすればトレーダーはいつも通り取引を続けられる。シェイプシフトやステラデックスといった非中央集権型の取引所は身元確認は不要で、どこからでもアクセス可能だ。

仮想通貨ウォレット「エクソダス」や「ジャックス」などはこうした取引所とリンクしているため、取引や資産保管は今でも匿名で行うことができる。法的保護を強化している国々の当局が、そのような活動の証拠を求めてコンピューターやスマートフォンを確認するためには、令状が必要となる場合もある。

また、たとえその場合でも、現場を押さえられない限り、所有者は規制が施行されてから取引を行っておらず、ウォレットのパスワードを忘れたと主張することができる。

非中央集権型取引所の一部では、韓国ウォンや中国人民元といった通貨に対する仮想通貨の価格変動に賭けるデリバティブ商品を提供しているが、こうした取引所では、現実の通貨に換金することは不可能だ。

そうした場合のオプションとしては、すべての仮想通貨をビットコインやイーサリアム、ライトコインといった流通規模の大きなものに交換し、10%超の手数料がかかる場合もあるが、それを61カ国に2064カ所ある仮想通貨ATMのどこかで売ることが挙げられる。必要なら、オフラインでUSBスティック大の「ウォレット」に保管することもできる。

また、ビットコインを禁止していない国で銀行口座を開設し、現地で現実通貨との取引が可能な中央集権型取引所に参加することもできるだろう。

「すべてを親指サイズのハードウォレットに保管している。プライベートキーのコピーは金庫に入れている。3大陸にある4カ所の取引所にアカウントがある。どんな政府が私のカネを欲しがったとしても、健闘を祈るよ」と、さまざまな仮想通貨で「約100万ドル」保有しているという香港の投資家は語った。

<国境を越えて>

ソウルに住む30歳の看護師は、政府の警告が市場に影響を及ぼす前に香港の取引所バイナンスに移ったと言う。ソウルに拠点を置く取引所の社員は、そうした動きが加速していると話す。

「これにより、深刻な資金流出が起きる可能性がある。政府だけがそれに気づいていない」と、ある社員は匿名で語った。

韓国は1日のビットコイン取引のうち、5─15%を占めており、ビットコイン全体の時価総額は約2000億ドルに上る。

海外でアカウントを開設するのが難しいのであれば、友人や家族、国内のビットコイン・コミュニティーが役立つかもしれない。

別の選択肢としては、できればワッツアップやテレグラムのような暗号化されたソーシャルメディアのアプリを使って、取引所にアクセス可能な誰かを見つけて、安くそれを売ってもらうことだ。だが不正にはリスクが伴う。

「手持ちのビットコインを、海外で換金可能な人が、ウォンで買い取るブラックマーケットが誕生する可能性がある」と、香港に拠点を置く取引所ゲートコインのオーレリアン・メナント最高経営責任者(CEO)は指摘する。

しかし、それはさらに禁止後に不正が起きるのではないかという恐れから新たな投資家の敬遠を招き、韓国での取引高が「数十億から数百万」規模に落ち込む可能性がある、とメナント氏は語った。

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)