[チューリヒ 22日 ロイター] - 仮想通貨を介した資金調達に際して、規制の緩いスイスの財団を利用した寄付方式はもはや適切ではない──。この仕組みに関与してきた法律専門家が警告している。

財団利用が問題となっているのは、企業が「トークン」と呼ばれる独自の仮想通貨を発行して資金を得る「新規仮想通貨公開(ICO)」。それに伴って設立された財団の多くは、非営利法人としての課税適用を申請してきた。またICOで調達される資金は、返還されない可能性がある寄付の扱いになっている。

そうした現状について世界中の規制当局は監視を強化し、ICOにおいて投資家は新規株式公開(IPO)と同じように保護されるべきかどうか検討しつつある。投資家の警戒感も高まり、昨年ICOを実施したテゾス財団は、だまされたと主張する投資家から集団訴訟を起こされている。

こうした中、テゾス財団設立やその他の大型ICOに携わった法律事務所MMEのルカ・ミューラー氏はロイターに、米国からの参加者が関係していたり、投資家からの支援を集めている仮想通貨グループは、スイスの財団ではなく一般企業を立ち上げる必要があると強調した。

ミューラー氏は「トークン販売をIPOのような構造にするなら、財団はふさわしくないだろう」と述べ、技術者向けのブロックチェーン(分散型台帳)プロジェクトという性格よりも、投資家向けの色彩が濃いのであれば、登録体制を整えるべきだと主張した。

ただ、限られた技術専門家グループ向けのプロジェクトの場合には、財団方式が引き続き有効かもしれないと述べた。

同氏によると、自身のチームが仮想通貨グループに財団方式の適用を提案したのは、当初はそれがプロジェクトの成否を巡る責任から開発者を守る目的にかなうとみなされたから。財団方式なら、調達資金が開発チームやそのアイデアに対する寄付だとはっきりするという。

MMEの定義によると、それによってトークンの開発者はプロジェクトの責任を問われず、訴訟の対象にもならない。