昨今の、「先端IT」によってもたらされるべき最も重要なビジネス・イノベーションは、「リアルタイム・ビジネス」だと思います。

 といっても、ITベンダーやシステム・インテグレーターはもう何年も、何十年も前から、それこそIBMがメインフレームを売り出したころから同じようなことを言ってきたかもしれません。でも、真の意味での「リアルタイム・ビジネス」は実現されてこなかった。

 そこには、言い訳も含め、いろんな理由があったんだろうと思います。そもそも「リアルタイム・ビジネス」を簡単に実現できるほどの技術は整っていなかった、あるいは、その重要性をちゃんと認識してさえいればできたはずの創意工夫すら諦めていた、その創意工夫を実現できる技術力を持つエンジニアが希少だったなどなど、理由は枚挙にいとまがないかもしれません。

いまこそ、ITが本領発揮する舞台が整った

 それが、昨今の先端ITを見ていると(「なまけ者型」「創意工夫意思欠落型」要因さえ排除できれば)、「リアルタイム・ビジネス」を実現できる先端ITがようやく整ってきたと、本当に思います。つまり、いまこそ、ITが本領発揮する舞台が整ったわけです。

 この連載では、その「リアルタイム・ビジネス」を牽引する先端ITを、いかに、ビジネスの武器にし得るかを、ソフト/ハード・メーカー依存ではない、ニュートラルな視点から、わかりやすく、しかも可能な限り、楽しく、面白く解説をしていきたいと思います。

 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の調査によると、現時点で最も投資をしたいITの領域は、「リアル・タイム経営」だそうです。この連載で述べたい「リアルタイム・ビジネス」は、「リアル・タイム経営」よりも広い意味でとらえています。

 つまり、ITは「経営」のためというよりも、より広くビジネスの成功のために活用されるべきであり、経営の「見える化」だけではなく、現場の、日々起きている大小様々な意思決定にこそ、役立てられるべきだという思いです。