氷の持つとても特殊な性質。滑る、増える、与える

氷がなぜ滑るのか、実はまだわかっていない

 2018年1月後半の大寒波では日本海側だけでなく関東地方にも雪が降り、転倒や車のスリップなどで700人以上がケガ(*1)をしました。

 それは氷という物質(H2Oの固体状態)の持つ、ある特殊な性質からくるものでした。それが「滑る」です。

 もちろん、鉄板の上に水や油が撒かれていれば滑りますが、乾いた鉄板であればいくら寒かろうが熱かろうが、滑ることはありません。でも氷は、水が撒かれてなくとも滑るのです。なぜなのでしょう。

 他にも氷は、他の物質にない特殊な性質をいろいろ持っています。その2つ目が「増える」です。ふつうの物質は、液体から固体になるとき、体積が減ります。たとえば溶かしたパラフィン(洋ロウソクの原料)を、コップに入れて冷やしていくと真ん中が大きく凹みます。体積が15%も減るからです。

氷がなぜ滑るのか、実はまだわかっていない 三谷宏治撮影 拡大画像表示

 でもH2Oの場合には逆です。固体(氷)になると体積が10%増えるので、液体(水)に浮くようになります。

*1 関東1都6県で死者2人、けが人719人(1月23日午前9時現在)