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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

入居料格安の農民工マンションに
春節帰郷の送迎バス
熱を帯びる中国の労働者確保作戦

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第88回】 2012年1月19日
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 顧問を務めている日本企業の中国側パートナーから、ここ数日相次いで「仕事納め」の知らせが送られてきた。なかには緊急に処理しなければならない用件もあり、1月の18日の昼頃までに片付けないとすべてが止まってしまう。速達会社も宅配会社も、18日の昼までに受付を終了するといわれた。

 日本人からすると、なぜ今頃仕事納めといぶかる人がいるかもしれない。家のテレビで中国のテレビ放送をつけると、必ずといっていいほど人の海に飲み込まれた各地の駅の画面が映っている。中国は民族大移動の時期に突入した。旧正月(春節)を迎えるためだ。

 地方からの労働者を、大量に吸い込んでいる浙江省でも同じ光景が見られる。企業が手配したバスが労働者を満載し、長蛇の列を成して労働者たちの故郷に向かう。

 人間の帰巣本能を最も浮き彫りにするこうした風物詩的な映像を目にしながら、ファイルに保存されているある資料のことを思い出した。

浙江省でもっとも
知られる農民工の村

 浙江省寧波市の下に、蒋介石の故郷である奉化市がある。その市の西側に、“力邦村”という村がある。力邦村は行政上の村ではなく、都市部によく見られる小型のニュータウンのような存在だ。

 そこに1500人が入居できるマンションが2棟、1000人ほどの人数が食事できる食堂が2つ、ホテル、道路に面する10以上のショップ、ナイター設備のある球場兼広場、さらに、図書室、卓球室、テレビ室、カラオケ、ネットカフェ、医務室、新聞スタンド、駐車場、スーパー、ヘアサロン、ランドリー、自転車ショップ、浴場、郵便出張所などが整備され、マンションの部屋にはケーブルテレビ回線、クレジット電話回線が引き込まれている。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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